はじめに
東日本大震災の発生から、まもなく8年。その後も日本各地で相次いで発生している大地震の影響もあり、市民の災害時対応に関する意識は震災前に比べて格段に向上したように感じられます。
ただ一方で、既存の防災活動や災害対応マニュアルは画一的な内容がほとんど。個々人の置かれた環境や生活スタイルが多様化している中、最大公約数的な対応では必要十分な解決策にはならないという課題も浮かび上がっています。
そんな課題を解消させようという取り組みが、3月7日から9日の3日間、六本木ヒルズで開かれています。いったいどんな取り組みで、どのような狙いが秘められているのでしょうか。
自分だけの防災ブックとは?
六本木ヒルズ森タワーの足元に広がる大屋根プラザ。今、この場所で開催されているのが「Yahoo!防災ダイバーシティ体験イベント」です。
訪れた人は、自分の特徴や生活スタイルに合致したカードを手に取っていき、それらをファイリングすることで、自分だけの防災ブックが作れるという仕組み。カードの種類は143と、豊富に用意されています。
自分の属性に合ったカードを選んでファイリング
たとえば、「旅行好き」のカードの裏に描かれているのは「防災ポーチ」の絵。旅行先で災害に見舞われることもあるので、旅行カバンには懐中電灯や手袋、救急セットなどをまとめたポーチを入れておくと、災害時に助かるというわけです。
また、「ライブ・コンサートによく行く」というカードをめくると、「コンサートのペンライト」が描かれています。その下には「避難所では、夜暗くなると灯りがなくなり、怖さを感じてしまう人もいます。そんな時、コンサート用の、光るペンライトが役立ちます」という説明が載っています。
イラスト付きで属性と対策が表裏に載っている
会場に来られない人のために、ヤフーでは、会場と同様の体験ができる特設サイトも設置。同社の西田修一執行役員は「人の数だけ“備え”があるという前提に立って、それぞれの生活環境や身体の特徴に合わせた備えを啓発し、促すプロジェクトです」と説明します。