はじめに
22万組以上の住宅選びの相談に応えてきたスーモカウンターが、住まいの悩みに答えるシリーズ。今回は、住宅・不動産総合サービス「SUUMO」の田辺貴久・副編集長がお答えします。
【相談者のお悩み】
福岡県で賃貸マンションに住む専業主婦です。夫と二人暮らしで今はまだ子供はいません。私は一戸建て育ちで、いずれ子供ができたときのことも考えて、広々とした、設備が充実している注文住宅に住むのが憧れです。
一方で、「あまりお金がかからず、通勤に便利な家」が希望の夫は、コンパクトでも職場に近いマンションが良いと言っていて、意見が食い違っています。
「マイホームが欲しい」ということは一致しているので、いつも家の話をするのですが、具体的にまとまらないままで、家探しが進みません。一生の買い物なのでお互い妥協はしたくないのですが、もめることなくスムーズに希望条件をすり合わせるには、どうしたらよいのでしょうか。
【相談者プロフィール】
- 本人:妻28歳(専業主婦)
- 家族:夫34歳(会社員)
- 現在の住居:賃貸マンション(福岡県、47平米、1LDK)
田辺: ご相談ありがとうございます。今回は「意見の食い違い解消」のポイントについて考えてみましょう。
夫婦の希望条件が違うのは当然
夫婦であっても、将来や生活を左右する重要な選択の場面では意見の食い違いは起きやすいもの。スーモカウンターにいらっしゃる方の中で、夫婦の意見が食い違うポイントとして多いのは、以下の3つです。
(1)マンションか一戸建てかの「種別」
(2)妻・夫どちらの実家の近くを選ぶかなどの「場所」
(3)家にどれだけお金をかけるかの「予算」
ただ、実はそういった意見の相違は、「どうしてその条件が良いのかという根本的な理由」を確認し、思い込みで決めていることの見直しと、互いが抱えている誤解を解消することで、解決する場合が多いのです。
予算の合意はどうやって取る?
夫婦で希望のエリアや種別がそれぞれ違っても、夫・妻のどちらかがお金をかけることへの不安がある場合は、まずは予算について明確にすると良いでしょう。
まず、「毎月返済できる額」について話し合います。そして、完済時年齢を何歳にするか、頭金はいくらにするか、住宅ローンをいくら組むのか考えてみて、予算条件を決めていきましょう。
予算が決まったら、それを基準にし、予算の範囲内でお互いのこだわりを調整していきます。こうすると、具体的な条件・優先順位に落とし込んで、話を進めることができます。
たとえば、妻・夫それぞれの実家近くの価格相場を調べたり、注文住宅の場合は「キッチンにお金をかける代わりに、浴室・トイレは最低限の設備で」など、どんな家を買うか・建てるかのイメージがつくようになります。
また、予算を明確にするプロセスで、お互いに抱いていた誤解が氷解することも多いのです。
夫側は「妻の意見を聞いていると、いくらお金があっても足りないと漠然と不安に思っていたが、予算内で叶えられる要望も多いとわかった」、妻側は「夫はとにかくお金をかけずに安い家にしたいはずと思っていたが、月々の支払いに問題ないことがはっきりすれば、大らかに要望を聞いてくれた」など、お金の面での誤解が解消され、その後の工程をスムーズに進めるきっかけになるでしょう。