ファッションビルの先駆けとして、1969年に池袋に1号店を構えたパルコ。50周年を迎える今年は、秋までに4店舗を出店。同社の牧山浩三社長は「新しいステージへの飛躍の年」と意気込みます。

その第1弾となるのが、3月16日にグランドオープンする錦糸町パルコです。池袋や渋谷を主戦場にしてきた同社にとって、東京東部は不慣れなエリア。ましてや、今回出店する楽天地ビルは数年おきに核テナントが入れ替わり、地元住民からは“鬼門”という声も上がる場所です。

いったいどんな戦略で、錦糸町を攻略しようと考えているのでしょうか。グランドオープンの2日前に開かれた内覧会を深掘りしてみます。


商業施設がしのぎを削る激戦区

JR錦糸町駅を南口から出て、すぐ左手。徒歩1分足らずの好立地に建つ楽天地ビルの地上1階から7階に入るのが、パルコ錦糸町店です。

延べ床面積は2万2,883平方メートル。全国で17店舗を展開するパルコの中で、ちょうど中間に位置する規模だといいます。衣食住にまつわる105店舗がテナントとして入居します。

しかし、冒頭でも触れたように、錦糸町駅周辺は丸井やアルカキットなど、大規模商業施設が複数存在する激戦エリア。実際、楽天地ビルもパルコの出店前にはスーパーの西友、その前は総合スーパーのLIVIN、さらに前には西武百貨店と、数年おきに核テナントが変わってきました。


パルコの斜め向かいには丸井が店を構える

パルコに入居の話があったのは、今から1年半前。牧山社長によると、核テナントの大規模リニューアルを打ち明けられたパルコは、「それならやらせてほしい」と短期間で決断したそうです。

パルコの背中を押した“借景”

それから半年という短い期間で、パルコは出店してもらうテナントを決めていきました。テナント候補に話を持ちかけると、多くの店舗が「やりたい」と即答したそうです。

これだけの商業施設があるエリアだけど、まだまだやれる部分がある――。テナント候補の反応を見て、そう確信したパルコは、このエリアでさらに必要とされているものは何か、マーケティング調査を進めました。

いったい何が、パルコとテナント候補の背中を押したのでしょうか。


錦糸町での狙いを語る牧山社長

JR総武線と東京メトロ半蔵門線が乗り入れる錦糸町駅は、1日の平均乗降客数が約20万人を超える交通の要衝。駅周辺にはすみだトリフォニーホールなどの文化・芸術施設も複数あり、ここ数年はファミリー層に人気の住宅エリアとなっています。その結果、夜間人口はもちろん、昼間人口も多いというマーケット特性を備えています。

また、楽天地ビルは2棟構成になっており、パルコとは別の棟にはシネマコンプレックスが入居しています。また、ビルの屋上ではスポーツ施設が運営されています。「こうした“借景”を生かそうと考えると、やるべきことは自然と決まるロケーションでした」(牧山社長)。