はじめに

連載『お金の育て方』では、これから資産運用を始める未経験者や、資産運用を始めてみた初心者に向けて、最初の段階で知っておくべき話を書いてきました。大事なお金を運用するために、連載だけではなく、情報をネットや書籍などからも収集し、自分なりにいろいろと考えているかもしれません。しかし、調べれば調べるほど、さまざまな投資スタイルを目にして、自分はどのようにすればよいのかわからなくなる場合もありますよね。

今回は投資スタイルの決め方のアドバイスができればと思います。


基本は長期と分散。そして低コスト

結論から言うと、投資スタイルは十人十色。このスタイルが正しいとか、このスタイルは間違っているということはありません。自分の大事なお金を自分の意思決定に基づいて運用するので、全ては自己責任です。その行動に対して他人がとやかく言っていいことではありません。
 
筆者は個人投資家と話す機会も多いのですが、他人の投資スタイルに口を出すのは危険です。参考までに、どのような投資スタイルを取っているのかを聞くのはいいですが、スタイルに対して何か意見を言うのは控えた方がいいでしょう。なかには自分のスタイルこそが至高だと考えている人もいるので、そこに対して意見をすると無意味な口論になってしまう可能性もあります。
 
とはいえ、基本的にはこれまでも述べてきたように、「長期」と「分散」のキーワードは心にとめておきましょう。将来のことは誰も正確に予測できないため、短期で上がる、下がる判断をして投資するのは投機に近い行為になってしまいます。また、将来が不確実だからこそ、1銘柄に集中投資するのではなく、複数の資産に分散して投資をし、リスクを分散していく必要があります。

また、将来のことは誰にもわかりませんが、確実にわかるのは取引にかかる「コスト」です。未来のリターンはわかりませんが、コストは取引前にわかりますよね。私たちの資産運用のパフォーマンスはコスト控除後の成績を指しますが、この成績を良いものにしたいならば、いかにコストを下げるかという点に尽きます。

投資信託が基本

それでは、低コストで長期分散投資を実践しようとすると、何が最適な方法なのでしょうか。コストパフォーマンスの観点からいえば、投資信託の活用かと思います。大手のオンライン証券会社であれば2,600本ほどの投資信託の中から好きな投資信託を選ぶことが可能です。なかでも、ノーロードという販売手数料がかからないものは半数の1,300本ほどあります。更にインデックスファンドと呼ばれる、指数に連動するように運用する投資信託を資産別に選んでいけばよいでしょう。

たとば、日経平均に連動するインデックスファンドであれば、日経平均を構成する225銘柄に一気に投資するのと同じ投資成果を得ることができます。実際に自分で構成銘柄の225社分の株式に投資しようとすると、多額の資金が必要になりますし、かなり手間がかかってしまいます。投資信託であれば、1本買えばいいというお手軽さもメリットの1つです。

ノーロードのインデックスファンドは、投資期間中にかかる手数料(信託報酬)も安いものは年間で0.15%前後しかかかりません。これだけの低コストで、日本株であれば日経平均やTOPIX(東証株価指数)、外国株であれば米国株や先進国株、そして債券であれば先進国債券、または最初から複数の資産に投資をしてくれるものもあります。

当然、資産運用ではいろいろな投資対象がありますが、最初は低コストの投資信託を活用するのが無難でしょう。

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