はじめに
NISAやつみたてNISAは継続可能に!?
株式や投資信託の利益、売却益や配当金が一定期間非課税になる「NISA」や「つみたてNISA」は、できれば海外居住中でも継続したいものです。これまで国内居住が要件となっていましたが、平成31年度の税制改正によって条件が緩和され、一部の人は、出国後もNISAやつみたてNISAの口座をそのまま維持できるようになりました。いくつか条件や制限があるため、制度を利用する前にしっかり確認しておきましょう。
<条件や制限などの注意点>
・対象は、転勤などのやむを得ない事情により一時的に海外居住者となる人
・出国前や帰国後に所定の届出書を金融機関に提出する必要がある
・海外居住中は新しく株式や投資信託を購入することはできない
・届出書を提出した日から 5年を 経過した年の年末(12 月31 日)までに帰国の届けがない場合は、非課税口座が廃止される
ただし、利用している金融機関が税制改正に対応しているとは限りませんので、直接問い合わせて確認することが大切です。また、海外居住中に配当金や売却による譲渡益が発生したときは、居住国で課税される可能性がある点にも注意しておきましょう。
海外転勤中も活用したい確定拠出年金制度
企業型DCやiDeCo(イデコ)と言われる「確定拠出年金制度」は、日本の公的年金の上乗せ部分として考えられているため、海外居住中も日本企業に所属して日本の社会保険制度に加入していれば、掛け金の拠出や運用を行うことができます。
一方、海外勤務期間が5年を超える人や現地企業での採用など、日本の社会保険制度から抜ける場合には運用指図者となります。これまで積み立てた資産は継続して運用できますが、掛け金を拠出することはできなくなります。
海外居住中の確定拠出年金制度(個人型)の継続利用
国民年金の被保険者種類 | 海外居住中の継続利用 |
---|---|
第1号被保険者 例:自営業者、学生等 | 掛け金の拠出ができない・運用ができる |
第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者) 例:会社員、公務員 | 掛け金の拠出・運用ができる |
第3号被保険者 例:第2号被保険者に扶養されている配偶者 | 掛け金の拠出・運用ができる |
資料:執筆者作成
海外居住中は日本の金融機関を通した金融商品の新規購入が制限されやすいため、海外居住中も定期的に掛け金を拠出することができる確定拠出年金制度は貴重な存在です。「海外生活は一時的なもので、老後は日本で…」という人であれば、確定拠出年金を利用して資産運用を続けていくのもひとつの手です。
金融機関への確認は「早めに!」がポイント
日本に居住しているときは当たり前に利用できるサービスでも、海外居住者になると様々な制限が出てくるため、早めに確認することが大切です。海外居住者でも利用できる口座を開設する、海外居住中は資産の売買ができなくても困らないように比較的安全な金融商品に買い替えるなど、時間があれば選択肢が広がります。
できれば出国日の半年~3カ月前、遅くても1カ月前には利用している金融機関が継続して利用できるかどうかを確認すると良いでしょう。何かあっても気軽に帰国とはいかないのが海外転勤や留学です。出国前に万全の準備を整えていきましょう。