はじめに
中でも一番の注目は?
その中でも一番の注目株はというと、山手線の田町―品川間に計画されている新駅プロジェクトでしょう。場所で言えば、ちょうど都営浅草線の泉岳寺駅の近くにあたるエリアで、山手線では比較的駅と駅の間の距離が長かった部分に新駅が計画されています。
実はこの計画、JR東日本の開発計画の中で、もっとも投資の費用対効果が高い計画として長らく注目されてきた計画でもあります。
そもそもの話に立ち戻ると、2015年3月に開業された上野東京ラインにまで話はさかのぼります。これは上野駅と東京駅の間に巨額の投資をして空中に新しい線路を敷設した大プロジェクトで、そのおかげで宇都宮線、高崎線、常磐線と東海道線が直通することになったもので、都心を貫く基幹路線の利便性向上に大いに貢献するとされたものでした。
もちろん利便性は高まったのですが(というか一時的には利便性が高まりすぎて、これまで以上に列車が大混雑して乗れなくなったという事件も起きました)、一方で「これだけの巨額な建設投資が回収できるのか?」と当時から疑問を感じる人も多かったのです。
ところがこのプロジェクト、巨額な投資は楽勝で回収できるのです。
山手線新駅は隣接する巨大なオフィスビル街とセットの計画だ
その理由が泉岳寺近辺に新設される山手線の新駅です。実はJRにとって上野東京ラインができることによる最大のメリットは、品川―田町駅間にある巨大な車両基地が不要になること。その結果、広さにして13ヘクタールという巨大な土地を更地にして、新たなオフィス用地として再開発することができるのです。
これは面積にすれば六本木ヒルズよりもやや広いエリアですが、最初から山手線の新駅隣接という開発条件なので、オフィスビルとしては最上級の立地条件になるはずです。一説によれば開発利益は3,000億円にのぼるといいますから、JRには巨額の利益がころがりこむ高収益プロジェクトということになります。
2020年の東京オリンピックにむけてこれから東京の景色が大きく変わっていくことでしょう。中でも新駅に関わるプロジェクトは利便性の観点からも、そして収益性の観点からも興味深いプロジェクトになると思います。