はじめに

人生100年時代には、長期化する人生をカバーする計画的な資産形成(資産寿命の延伸)とともに、できるだけ長く働き続けること(就労寿命の延伸)が、経済面の人生設計における重要なテーマとなります。

これに加えて、できれば生涯現役で働く上では、健康の維持・増進や生きがいなど心の豊かさの面に関してもバランスよく考えていくことが重要になるでしょう。

このようななか現在のミドル世代には、結婚や子どもの有無等にかかわらず、将来的には1人で暮らす「シングルライフ」のライフステージを迎える人が少なくないと思われます。

近年では中高年期から充実したシングルライフを送る人が増えていますが、彼らのライフスタイルには、多くのミドル世代が自身の将来のライフデザインを考えていく上で参考にできるヒントが含まれているのではないでしょうか。

そこで今回は、第一生命経済研究所が行った40~50代の中高年単身者へのアンケート調査から、雇用者として働く一人暮らしの中高年シングルが「充実感を感じるとき」についての調査結果をご紹介します。


中高年シングルが充実感を感じるのはどんなときか 

この調査では、充実感を感じるときとして「仕事に打ち込んでいるとき」や「収入があったとき」を含む計14項目の選択肢から回答を求めました。

選択肢は「仕事」に関わる先の2項目のほか、「仕事以外」の領域として、何らかのアクティブな行動や活動にかかわるもの(アクティブ)、他者とのコミュニケーションにかかわるもの(コミュニケーション)、アクティブな行動や活動ではなく他者とのコミュニケーションからは離れて過ごす時間にかかわるもの(リラックス)の計4領域で構成しています。

「仕事に打ち込んでいるとき」をあげた人は3人に1人 

調査の結果、正規雇用の男性では「趣味やスポーツに熱中しているとき」(48.6%)、女性では「おいしいものを食べたり、飲んだりするとき」(63.6%)が最も多くあげられました(図1)。2位以下には、男性では「収入があったとき」と「おいしいものを食べたり飲んだりするとき」が、女性では「旅行しているとき」と「収入があったとき」が続いています。

仕事と仕事以外という区分に注目した場合、正規雇用の男女では「仕事に打ち込んでいるとき」をあげた人が3~4割にとどまった一方で、仕事以外の領域ではアクティブ領域の項目が比較的多くあげられています。

一方、非正規雇用の男性では「収入があったとき」(56.0%)、女性では「おいしいものを食べたり、飲んだりするとき」(63.0%)が最も多く、男性では「一人で過ごしているとき」と「おいしいものを食べたり飲んだりするとき」が、女性では「収入があったとき」と「一人で過ごしているとき」が続きました。非正規雇用の男女では、正規雇用の男女に比べてリラックス領域の項目が上位にあげられている点が注目されます。

図1 中高年シングルが「充実感を感じるとき」(就労形態・性別)<複数回答>

中高年シングルが「充実感を感じるとき」

出典:第一生命経済研究所「中高年単身者の生活実態に関する調査」
注1:調査方法はインターネット調査。調査時期は2018年10月。対象者は調査会社の登録モニターから一都三県の正規雇用者と非正規雇用者各1,000名を性・年齢階級別に均等になるよう抽出
注2:丸囲み数字は順位(上位3項目)、「ペットと過ごしているとき」に関する集計値は非飼育者を含めた値

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