GMSをどう立て直す?

もちろん、イオンとしてはこうした現状に対して、手をこまぬいているわけではありません。若生副社長が指摘する現状の課題の1つが「デジタルシフトと専門店事業の出遅れ」。そのテコ入れのために、3月付で3人の代表執行役副社長を配置し、事業の再構築に着手しています。

3人の代表執行役副社長
左から、デベロッパー事業とデジタル事業担当の吉田昭夫副社長、GMS事業と国際事業担当の岡崎副社長、SM事業担当の藤田元宏副社長

この3人のうち、イオンの中核であるGMS事業を担当するのが岡崎双一副社長です。同事業では「“強い食”と“強い専門”が集まる真の総合小売業となる準備」(三宅執行役)を進めるべく、今春に500人のエリアマネージャーを配置。5つの専門領域で製販一体の集合体に再構成する構えです。

カギとなるのは「強い現場力」(岡崎副社長)。これまでであれば、ある専門領域の責任者が売り場に変更を加えようとした場合、支社長や事業部長、店長の判断を仰ぐ必要がありました。あるいは、売り場から新たな商材を加えたいという要望を上げても、上部レイヤーの人間は他の領域も見ているので、結果的に多くの要望の中の1つにとどまり、実現がしにくいことがあったそうです。

GMS改革
イオンが掲げるGMS改革の模式図

こうした状況を改めるため、各専門領域の商品企画の責任者に意思決定を集約し、この責任者が売り場づくりを統括する体制に変更します。他の専門領域に先駆けて2018年度から改革を実施しているグラムビューティークでは、2018年度下半期の既存店売上高が前年同期比5.6%増と、全社平均を上回る伸びを示しています。

次の50年に向けた重要な1年

これら一連の改革を進めることで、GMS事業は2019年度に増収増益を計画しています。ただし、同事業の組織は前身のジャスコ以来、50年をかけて築き上げてきたもの。それを丸ごと変えようとしているわけなので、「かなりのエネルギーがいる」(岡崎副社長)ことになりそうです。

1970年に岡田屋など3社の共同出資で設立し、Japan United Stores COmpanyの頭文字を取って命名されたジャスコ。2001年にイオンへと商号を変えた後も事業は拡大を続け、今ではイトーヨーカドーと並ぶ国内GMSの双璧となっています。

しかし、昔であればうまく回っていた運営体制も、時代の変化や事業規模の成長との間で歪みが生じ始めています。そうした中で、いち早く体制の再構築を進められるか。次の50年を見据えたうえで、2019年は重要な1年となりそうです。