はじめに

トクラス、東邦ガスと共同開発

この商品は、栗原さんの子息が経営する「ゆとりの空間」と、住宅設備会社のトクラス、東邦ガスの3社で共同開発したもの。昨年4月に東邦ガスが栗原さんとトクラスに声がけしたことがきっかけでした。

リフォーム事業の強化を進めている東邦ガスでは、家庭の食を支えるキッチンこそがリフォーム強化のカギになると考えました。料理がもっとおいしくなるオリジナルキッチンを作りたい。そう考えた東邦ガスが相談したのが、10年以上前から同社のCMに出演している栗原さんでした。

自身のアイデアを取り入れたキッチンを作ってみたいと考えていたという栗原さんとの話はトントン拍子に進行。そこで、暮らしに合わせたキッチンを開発してきたトクラスに、東邦ガスが開発を打診した、というのがこれまでの経過だといいます。

スキマ
サブキッチンの棚はあえて間隔を広めに設計

トクラスでは、今回の新商品発売を機に、「harumi’s kitchen ambassador」というコミュニティを創設。「料理をもっと楽しもうというコトを、モノに乗せて販売する」(トクラスの水野宇多子・経営企画部副部長)のが目的で、販売網のコーディネーター、プランナー、セールス担当などで構成されています。

このコミュニティでは、イベントや各種メディアとの連携を通じて、harumi’s kitchenの納入事例などの情報を共有。栗原さんのファン層を潜在顧客ととらえ、ユーザーの獲得を進めていく考えです。

「キッチンは一生のうち、1~2度しか買わない商品。それゆえの迷いや不安を抱えたお客様を、アンバサダーが導く」(水野副部長)ための仕掛け、という位置づけです。

自分で作り込むから愛着がわく

開発を手掛けたトクラスの緒方彰・商品事業戦略マネージャーは「キッチンメーカーだけでは実現できない、キッチンの本質をとらえた工夫が織り込まれている」と説明します。実際に、プロモーションの一環で利用してもらったモニターの97%が「自宅に欲しい」と回答したそうです。

メーカーだと、どうしても“足し算の発想”で商品を開発してしまいがち。しかし今回は、あえて“引き算の発想”にすることで、自分で作り込める余地をふんだんに残した格好です。

椅子
キッチンの側面には折りたたみ椅子を収納可能

あらかじめ決められた機能を利用するのではなく、自分で中身をあれこれ入れ替えることで、キッチンに対する愛着がわくというのが、その背後にある思想。そうすることで、常に清潔に保たれるし、生活の変化に合わせて機能を作り替えることもできます。

今回の新商品、価格はメインキッチンが標準仕様で159万8,000円、サブキッチンが同124万3,000円(いずれも税別)となっています。おいそれと買い替えることのできる値段ではありませんが、商品に込められた栗原さんの思想を自宅のキッチンに生かせれば、料理の時間がこれまでと違う、楽しいひと時になるかもしれません。

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