はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、結婚7年目にして子供を授かった37歳の共働き主婦。出産を控えて妻が仕事をセーブしなければならない上に、派遣社員として働く夫が転職を考えているため、収入が不安定になるといいます。貯蓄は30万円。なんとか切り抜けることができるのでしょうか。FPの横山光昭氏がお答えします。

結婚7年目、ようやく妊娠しました。ですが、出産の時期に収入が減りそうな見込みで、生活していけるのか心配です。夫はもともと技術系の仕事でしたが、事故でケガをして退職。その後うまく仕事が見つからず、今は派遣社員として働いています。5年勤めれば正社員になれるとは聞いていたものの、働き続けてみると過去に正社員になれた人は1人しかいません。どうやら正社員になると残業が多い割に残業代がきちんとつかなかったりして、手取り額でいえば派遣の時より少なくなる見込みなのだそうです。任期満了後は、継続の手続きはせず、正社員にもならず、転職しようと考えています。退職してすぐに仕事が決まらないと、失業給付が出るまで3ヵ月の待機期間がありますし、退職金がないので、収入がなくなってしまいます。


私自身は自営業で、イラストと映像関係の仕事をしています。妊娠中はがんばったとしても、重い機材を持つなどある程度仕事を制限しなくてはいけないと思いますし、出産前後は仕事をすることも難しいかなと思っています。ですから、私の方でも収入が減る見込みです。なんとか乗り切ることができるでしょうか。初めての子どもは楽しみですし、できるだけ不安が少ない状況で出産したいです。


〈相談者プロフィール〉
・女性、37歳、既婚(夫:37歳、派遣社員)
・職業:自営業
・手取り世帯月収:38.1万円
(夫:25.3万円、妻:12.8万円)
・手取り年間ボーナス:なし
・貯蓄:30万円


【支出の内訳(38.1万円)】
・住居費:6.8万円(家賃+共益費)
・食費:7.1万円
・水道光熱費:1.9万円
・通信費:1.7万円
・生命保険料:1.6万円
・日用品代:0.5万円
・医療費:1.4万円
・教育費:1.2万円
・交通費:0.4万円
・被服費:0.8万円
・交際費:1.5万円
・娯楽費:0.5万円
・小遣い:3万円
・嗜好品:0.6万円
・その他:1.6万円
・妻の仕事の経費:2万円
・国民年金、国民健康保険:5.5万円(2人分)


横山: お二人とも収入が減る見込みの中での出産は、不安ですね。今後の収入については、ご主人が仕事を見つけられるかどうかにより変わりますが、支出については現状を見直し、減らしていくことは可能だと思います。家計状況からどの程度の支出削減ができ、先に備えていけるか考えてみましょう。

今までの“当たり前の支出”を疑って

今の家計状況は精いっぱい暮らしての支出額なので、「これ以上どうしようもない」と思いがちです。ですが、そんな支出の中でも削減できる部分は意外と見つけられます。

今まで当たり前に支払ってきた支出の金額を、自分たちの使い方の量やレベルなどに合っているのかどうか照らし合わせてみて、他に策はないものか検討してみましょう。使い方などを振り返ると、今まで必要だと思っていたものや支出内容が意外と「こだわることなかった」と思えるものだとわかることもあります。

また、必要度に応じて優先順位をつけてみるということも、不要な支出を見つけるきっかけになります。下位にくるものは、そんなに重要ではないと判断できるからです。そうすると支出の間隔をあけても問題ないなどの判断もしやすくなります。

自分たちの暮らしに大切なものは尊重しつつ、不要な部分をカットできるように見直しをしてみましょう。

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