はじめに

中学受験に関する数字を森上教育研究所の高橋真実さん(タカさん)と森上展安さん(モリさん)に解説いただく本連載。

中学受験の話題と切っても切れないのは「お金」に関する事。中学受験の準備に要する期間は約3年。その間、通常の塾代だけでなく、テキスト代や講習費、受験費用など様々な場面でお金が必要となってきます。そして、晴れて合格し私立に進学した場合、公立に進学するのに比べ高額な負担が必要となります。

中学から6年間、私立で学ばせる場合、どのくらいの教育費を想定しておけば良いのでしょうか。

今回の中学受験に関する数字…年間約100万円


中学受験の準備に約200万円、私立中学進学後は年間約100万円

<タカの目>(高橋真実)

2016年に実施された文部科学省の「子どもの学習費調査」によると、私立中学に通うお子さんの学校教育費(授業料、修学旅行費、教材費等)は年間99万7,435円。一方、公立中学のお子さんの学校教育費は年間13万3,640円でした。

この調査に基づくと、仮に中学・高校ともに公立で学ぶと6年間でおよそ123万円、中学・高校ともに私立の場合では526万円かかることになります。高校では就学支援金がありますので、実際にはこれほどかからないケースの方が多いと思われます。

中学受験は準備にもコストがかかります。仮に大手塾の中学受験コースに4年生から通塾したとして、通常の授業料、模擬試験料金、長期休暇中の講習費などを含めると、およそ200万円あまりがかかると言われています。

この他にも、1校あたり2万円から3万円程度の受験料など、受験には様々なコストがかかります。昨今は、こうした教育費を、祖父母が支援するケースも少なくありません。背景には、2013年にスタートした「教育資金の一括贈与非課税措置」によって、孫の教育資金の提供がしやすくなったこともあります。

また、近年“元受験生の保護者”である祖父母が増えつつあることも、一因と考えられます。自分のお子さんでの経験から、コストがかかっても私立中学で学ばせることに価値を見出し、孫にもぜひこうした機会をと考えるからです。

祖父母向けの学校説明会を行う学校も

 
最近では、こうした祖父母の支援に着目して、祖父母向けの学校説明会を開催している学校もあります。ある私立中学の先生は、ご自身のお子さんの中学受験の志望校選びで、金融機関にお勤めの奥様からこう言われたそうです。「600万円(100万円/年×6年間)かけるだけの価値がある学校はどこなの?」

学校教育を投資対効果で測るのは難しいことですが、やはり負担する側としては、これだけのコストをかける価値があるかどうか気になるところ。子どもの将来を考え、お財布と相談し、親の悩みはつきません。

そもそも私立中学で学ぶことの価値とは何でしょうか。私立中学のコストと価値。どんな視点から考え、判断すべきなのでしょうか。

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