はじめに
5月6日の立夏を迎えると、暦の上ではもう夏。毎年立夏を過ぎると、陽射しも強くなって、初夏の匂いを感じます。6月になると梅雨入りで空が雲に覆われがちになってしまいますが、あと1ヵ月はカラッとしていて空気も澄んで清々しい季節です。
肌寒い日が遠ざかると、衣替えの季節になります。この時期に冬物のコートなどをクリーニングに持っていく方も多いでしょう。総務省統計局の家計調査では、クリーニングなどの洗濯代について、1世帯当たりの月別支出金額が公表されています。
5月を過去10年間で平均すると985円となりました。これは他の月に比べて最も多いです。次が4月の965円。ゴールデンウィークにかけて夏モノに衣替えする家庭も少なくないようです。そして、第3位が6月の745円です。
一方、10月や11月は冬モノへの衣替えで、夏モノのクリーニングも少なくないようですが、やはり冬モノのほうがコートやアウターなどになるため、費用がかさむようです。
そして、このクリーニングなどの洗濯代。皆さんの生活にも密着したものですから、やはり景気や株価と深いつながりがあるようです。
右肩下がりの洗濯代、上昇基調の洗剤代
たとえば、お気に入りのセーター。来年も大切に着たいと思えば、しっかりとクリーニングして清潔に保管したいと思うでしょう。ただ、最近は洗濯機の性能が良くなり、洗剤も改良が進んで、デリケートな素材の衣類も自宅で洗えるようになりました。倹約を考えるなら、自宅で洗濯することもできてしまいます。
であれば、景気が良くて株価も上昇するような環境では、多くの家庭で所得にも余裕があり、クリーニングなどの洗濯代が増えるのではないでしょうか。一方、景気や株価が低迷する時には洗濯代が減るのではないか、という仮説が立てられます。
そこで、データで確認してみましょう。最初に、1年で最も洗濯代が多い5月の洗濯代が過去どのように推移してきたか、見ることにしました。
上図を見ると、「景気が悪いと洗濯代が減る」という仮説どころか、洗濯代はほぼ一貫して低下傾向をたどっています。これはやはり洗剤の機能がアップしたためでしょう。
同じく毎年5月の洗剤代も並べてグラフにしました。こちらはほぼ一貫して上昇傾向となっています。クリーニングに出さずに家庭で洗濯を済ませてしまうという構造的な流れが続いているようです。
ただ、まったく景気との関係が見れなくもないようです。たとえば、2001年は洗濯代が大きく下がっています。2000年問題への対応などからIT業界への期待が起こった「ITバブル」の崩壊の影響が本格化した年で、景気も低迷しました。また、2008年のリーマンショック時も洗濯代が大きく下げています。