はじめに

管理が“必要な支出”と“不要な支出”

貯蓄目標と家計の支出予算を決めたら、次は、予算内に収まるように支出を管理しましょう。これが難しく、なかなか思い通りにならないと悩まれている人が多いと思います。家計支出のすべてを管理し、コントロールしようと考えると、「ものすごく手間がかかって大変だ!」と思われるのではないでしょうか。

実は、家計の支出には、管理が“必要な支出”と“不要な支出”があるのです。

下の図は、相談者様の家計支出予算を整理したものです。未計上の項目として、保険医療費、自宅の固定資産税がありました。これは、別途支出予算を組む必要があるので、貯蓄目標を引き下げるか、他の支出項目の予算で調整する必要があります。

次に、支出項目ごとに、すでに支出額が決まっているもの(青色)、変動が少ないもの(緑色)と、毎月変動するもの(赤色)に分類します。すでに支出額が決まっているものは、小遣い、住宅関連と保険料です。あまり支出額が変動しないものは水道光熱費(月によって大きく変わるが、毎年の支出としては変化が少ない)、通信費(データ量に応じた固定料金制+通話料)です。支出額に変動が大きいものとしては、食費、日用雑貨、レジャー・雑費、医療費が該当します。

グラフ2

重点的に管理する必要がある項目は、変動の大きい支出項目(赤色)で、管理が不要な項目は、支払額が決まっている支出項目(青色)です。ある程度支出額が決まっている支出項目(緑色)は、管理しなくても、それほど家計支出に影響のない項目なので、こちらも管理不要です。こうして見ると、相談者様の家計支出金額のうち、約半分は管理しなくてよいということになります。

ところで、管理が必要な項目(赤色)を見ると、日々、もしくは、その都度、購入(消費)するかどうか判断が必要なものです。つまり、予算を守れずに貯金ができない原因は、ここにあるのです。

食費の場合は、食材をどう購入するか、あるいは外食にするかなど、気持ち次第で支出額が大きく変わります。したがって、上手に管理するためには、毎月の支出ペースをつかみ、それを守ることが大切です。「今月は使いすぎたから、来月節約しよう」というのはなかなか難しいものです。

その他の被服費やレジャー費は、季節によって支出金額が変わるので、毎月の予算内に収めるよりは、年間の予算をとって、予算をオーバーしないように管理していくという方法をとると良いでしょう。

管理が必要な項目は「夫婦共通財布」で

管理する重点項目が決まったら、次はどのように管理をしていくかです。

家計管理の方法として、項目別に夫婦どちらが担当するのかを決めて支出する、夫婦共通の財布(口座)を作ってそこから支出する、どちらか一方が家計管理を担当するなど、さまざまな方法がありますが、管理のしやすさを考えると、お互いが支出を立て替えたりしないような体制が最低限必要だと思います。なぜなら、精算するまで支出の実態がわからないからです。そう考えると、少なくとも重点的に管理する項目は、共通財布にした方がよいでしょう。

毎月の予算24万円のうち、小遣いを除いた16万円を共通生活費としてお互いに拠出し、2人で予算と実績をチェックして家計を管理するのです。重点管理が不要な支出項目については、もちろん共通財布に入れても良いですし、項目別に支出を担当するのでも良いでしょう。

毎月の家計管理とは別に、ボーナス時は、ついつい気が緩んで支出が増えてしまう傾向がありますが、二人でボーナスの使い道を話し合い、ボーナス時の支出予算の範囲に抑えます。

貯蓄目標を達成するための家計管理の4つのコツは以下のとおりです。

1. 貯蓄目標に無理がないかをチェックする
2. 支出項目ごとに重点管理が必要か、不要かを分ける
3. 重点管理が必要な支出項目は共通財布(口座)で管理する
4. ボーナスの使い道は、予算内に抑えるように話し合う

相談者様とご主人の間で、家計管理について話し合いができているようですので、あとは、家計管理のコツをつかんで、2人で協力して目標貯蓄額を達成しましょう。


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