はじめに

上位10社中5社が総合商社

2位のヒューリックは不動産デベロッパーです。もともとは旧富士銀行(現みずほ銀行)の店舗建物の管理や店舗跡地の開発を行うだけの地味な会社でしたが、2006年頃から積極経営に転じ、みるみる業績が上がった会社です。

従業員数は166名。不動産デベロッパー最大手の三井不動産は1,526名、平均給与は1,112万円で16位、不動産デベ2位の三菱地所は806名、1,229万円で12位です(いずれも2018年3月末時点)。

人数は三井不動産の約10分の1、三菱地所の5分の1ですが、平均給与は三井よりも524万円、三菱よりも407万円も高い計算になります。この会社も少数精鋭と言っていいでしょう。

ランキング

3位は三菱商事。総合商社はベスト10に計5社入っています。しかも比較的毎年金額が安定しています。

7位のファナックは知る人ぞ知る、日本が世界に誇る工作機械メーカーです。スマホを組み立てるロボットでここ数年好業績が続きましたが、昨年秋のスマホショック以降業績が急降下していますので、来年の調査では順位を大幅に下げる可能性があります。

30位から6位にジャンプアップ

興味深いのは、6位の日本商業開発です。前年は980万円で30位でしたが、そこから大きく躍進しました。前年からの増加率は実に39.6%です。

もっとも、2年前は1,741万円で2位でしたので、その年ごとの変動が激しいことがわかります。事業が不動産投資で、1案件ごとの金額も大きいので、収益の振れ幅は大きいのは間違いありません。

ただ、2018年3月期の従業員数は37名。前年の27名から一気に10名も増えていますので、高額年俸の社員中心に従業員を増やした可能性があります。先頃公表された2019年3月期決算は当期純利益が前期比37.1%増でしたから、来年の調査ではさらに順位を上げる可能性があります。

少人数の会社は振れ幅が大きい?

増加率トップのアゴーラ・ホスピタリティー・グループは、上昇率こそ47.52%ですが、金額は409万円から604万円に上がっただけなので、日本全体の平均から上場会社全体の平均に上昇しただけで、給与水準が突出して高くなったわけではありません。

増加率

この会社、1949年に上場していますので、上場歴は今年5月で70年を迎えました。以前は「東海観光」という社名で、セゾングループ傘下だった時期もありますが、香港資本が入ったことから、2012年に現社名になりました。

伊豆今井浜の温泉旅館など、国内で5ヵ所の宿泊施設の経営をしていて、2018年12月期の年商は68億円、本業の儲けを表す営業損益は7,300万円の赤字、当期純損益は4億4,600万円の赤字でした。従業員はわずか11名ですので、ほんの2~3人が入れ替わっただけで平均給与が変動してしまうのです。

言わずもがなですが、投資家や世間から見た「良い会社」が、必ずしも働く側にとっても「良い会社」とは限りません。高給はさまざまな犠牲と引替えだったりもします。だからこそ、誰しも他人の給与水準に興味をそそられるのかもしれません。

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