はじめに
仕事を辞めて専業主婦になり、「以前の職場で企業型確定拠出年金に加入していたという方からどうしたらいいのか?」というご相談をいただくことがあります。
今回は、退職してから企業型確定拠出年金の手続きを行わずに放置しているとどうなるのか?どうしたらいいのか?と不安に思っている主婦の方にお伝えしたいと思います。
6ヶ月以上、放置している人は「自動移換」という残念な状態に…
企業型確定拠出年金に加入していた方が、退職して専業主婦になった場合には「加入者資格」を失うことになります。本来であればiDeCoに移換の手続きをしなければなりません。
手続きをしないで加入者資格を喪失してから6カ月以上放置すると、国民年金基金連合会へ「自動移換」されてしまいます。
2017年度末の自動移管割合は52% 、半数以上の方は退職後に移管の手続きを行っていません。
自動移換と聞くと、なんとなく自動で移換されるのでそのままでいいのではないか?と思ってしまうかもしれません。しかし、「自動移換通知」に続いて「定期通知」が手元に届き資産額が目減りしているのを見て初めて慌てる方も多いのではないでしょうか。
自動移換になると、手数料がかかる以外にもデメリットがあるため注意が必要です。具体的には、無利息の現金の状態で管理される、運用の指図ができない(運用機会を逸する)、また、自動移換中の期間は老齢給付金を受けるための加入者等期間に算入されないため受給開始の時期が遅くなるなどです。
自分でアクションを起こさない限り、資産が目減りし続ける残念な状態になってしまいます。
自動移換で1万4,093円(10年間)が目減り
国民年金基金連合会の「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」によると、自動移換になった人の61.9%は移動資産額が25万 円以下です。移換資産額が増えるにつれて自動移換者数は減る傾向があります。
つまり、移動資産額が少ない人ほど放置していると言えるのです。
たとえば移管資産額25万円だった場合に、10年間放置しているとどのくらい資産が目減りしてしまうのでしょうか?
自動移換を経てiDeCoへ移換した場合と、退職後にiDeCoに移換した場合の手数料を比較してみましょう。
自動移換・iDeCoへ移換の手数料
※楽天証券の場合。金融機関により異なる。
表:執筆者作成
上の表では、自動移換の場合、最終的にiDeCoに移換して給付を受けることを想定しています。10年放置してiDeCoへ移換した場合にかかる手数料の合計は14,093円 になります。手数料の内訳は以下になります。
・退職6ヶ月後の自動移換時 3,240円+1,029円=4,269円
・管理手数料 51円×117ヶ月=5,967円
※自動移換先の管理手数料は4ヶ月後から発生、10年(120ヶ月)
・iDeCoへ移換 1,080円+2,777円=3,857円
25万円が自動移換された場合、10年間で資産額は23万5,907円に減ることになります。