はじめに
結婚はそれがゴールではなく、2人で歩む生活のスタートに過ぎません。そういった観点から、前回の「結婚難民の羅針盤」では「こんなはずじゃなかった結婚」にならないために大切な婚活の視点をご紹介しました。
今回は特に、「ワンオペ妻になりたくない」女性、「家庭的なマイホーム夫になりたい」男性にとって、特に興味深い情報を提供したいと思います。
ライフデザイン観の温度差は要確認
結婚後に発生する育児や家事という生活行動を「女性のものだ」「女性がやったほうがいい」と思っている男性の割合は、今の日本にどれくらいいるのでしょうか。また、都道府県によって、その割合に差があるのでしょうか。
結婚は2人の合意のみで決まります。しかし、2人の決めた結婚後のライフデザインと周囲の価値観があまりに異なる場合、それなりの覚悟がないと心が折れてしまうといったことが起こります。
育児や家事を男性が行うことに対して違和感が強めのエリアでは、夫の価値観の影響だけでなく、社会環境的に妻がワンオペに誘導される可能性が高まります。また、夫についても、本人がどんなに家庭的でありたいと思っていても環境が許さず苦戦する、という可能性が高まるのです。
今回も、2015年に内閣府が実施した「地域における女性の活躍に関する意識調査」結果を基に、ニッポンの育児家事に対する都道府県の意識をみてみたいと思います。
「ワンオペ妻」リスクナンバーワンは広島県
このデータは、都道府県別に性別・年代を国勢調査の分布に基づいてサンプル抽出しています。したがって、調査集団の偏りの少ない、その都道府県別の平均的な男性の意識をみることができます。
下表は、「『家事や子育ては女性が行ったほうがよい』と思うか」という質問に対し、「そう思う」「ややそう思う」と回答した男性の合計割合を計算し、多い順に並べています。その結果からは、「その都道府県の男性の平均的な家事・育児に関する役割分担価値観」が見えてくることになります。
全国平均で見ても、56%の男性が「家事や育児の分担は女性がいい」と思っていることが読み取れます。男性が家事・育児を、女性と同じ、もしくはそれ以上に分担しようと思っても、そのようなライフデザインを前提とする職場の制度や企業風土、自治体の制度、周囲の理解がまだまだそろっていない可能性がかなり高いのが、今の日本の姿といえるでしょう。
中でも、上位6エリアは6割以上の男性が「家事・育児は女性がいい」と思っているとの結果です。広島県、香川県、奈良県、山口県、愛知県、埼玉県と、6割を超える上位の県は、西日本に多く見られます。