はじめに

老後資金は「毎月の生活費」と「臨時支出」を準備

老後はどのような暮らしを希望しているでしょうか。末のお子さんが成人されるころ、相談者様は72歳。奥様も定年され、やや落ち着くころかなと思います。この72歳になるまでと、その後に、年金収入などでは足りない分をどの程度補填して暮らすのかが、必要な老後資金の目安になるでしょう。
 
現状、年金は厚生年金の方で男性が16~18万円ほど、女性で12~14万円ほどです。相談者さまは年齢差のあるご夫婦なので、一方が定年、年金暮らしとなっても、仕事を持つ配偶者がいると、ある程度収入がカバーされるという点が良い点です。ただ、やはりいくらかは老後資金から補填して暮らすことになるでしょうから、その分を計算しておくと、今後の見通しが立ちそうです。

もし、お子さんが全員成人するまでの間、毎月5万円補填するとなると、72歳までの720万円が必要です。補てんする金額がもっと必要であれば、それに合わせて増えていきます。72歳以後、ご夫婦で4万円の生活費が必要で、例えば今話題のように100歳まで生きるとすると、相談者様が100歳になるまでに1344万円、奥様が100歳になるまでだともっとかかる計算となります。

しかも、これだけで良いはずもなく、住宅のリフォーム費用や医療介護費として、最低でも1000万円ほどは見ておきましょう。

こう考えると、最低でも3060万円ほどの老後資金を見込んでおいた方が良いということです。生活の仕方次第では、もっとお金がかかる可能性がありますから、大目に備えておいても良いと思います。

必要資金は5000万円!?将来に備える対策

これまで出た教育費と老後資金の数字を合わせてみると、5000万円以上の資金が必要です。現状ではぎりぎりか、もしくは不足する見込みですから、資金不足に陥らないかが心配です。

その予防の意味で、今の家計を見直しておくことも一つの手段です。今は教育費がかかっている、食べ盛りの子供がいるなど、様々な理由で支出が多くなっているように思えます。そこを少しずつでも見直してみると、貯蓄額を増やすことができ、かつ、老後の生活のダウンサイジングにつながったりもしますので、メリットは大きいと思います。
 
一度ご家族みんなで、無駄な支出はないか、話し合ってみても良いと思います。自分たちの学費を出すためにどうするかという話し合いは、結構お子さんたちも一生懸命考えてくれるのではないかと思いますし、今後の協力も得やすくなるでしょう。

定年後にお子様たちの教育費がかかるというご家庭は、今増えていると思います。先を見据え、教育費も、自分たちの老後資金も準備しておく必要があります。それは蓄えを作ることばかりではなく、その蓄えの減らし方をどうするかということも大切なことです。

ある程度の準備はできていると思いますので、さらに資産が長持ちできるように、今できることから取り組んでみてください。

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