はじめに

セブン&アイ・ホールディングスは、9日に開催した記者会見にて、グループ共通のプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の商品ラインナップに新たに生鮮品を加えることを発表しました。

2007年5月の登場以降、その商品をぐんぐん拡大してきた人気のセブンプレミアムが、今このタイミングで生鮮品を取り扱い始める理由は? セブン&アイをとりまく環境含め、深層の経営事情を解説したいと思います。


大成長を遂げたセブンプレミアム

セブンイレブンでおなじみのセブンプレミアムは、グループ全体での売上高が1兆円を超え、グループの柱ともいえるセブン&アイのプライベートブランド商品です。

セブンのロゴがついたセブンプレミアムの商品は、あっという間に、都会で一人暮らしをする人々にとって欠かせない生活食品になりました。

なにしろセブンプレミアムはおいしい。惣菜やレトルト食品、カップめん、菓子パン、スナックといったどの分野でもなんとなくおいしそうな商品を選ぶと、それが全国的に知名度の高いナショナルブランドではなく、セブンプレミアムであることが多いのです。

これはセブンプレミアムを育てた井阪隆一社長の狙い通りでした。ライバルであるイオングループのプライベートブランド「トップバリュ」が価格訴求だったのに対して、セブンプレミアムはその名の通り品質を重視。

そして、トップバリュは年間売上高が前年度マイナスの7,600億円程度で足踏みしているのに対して、セブンプレミアムは高成長を続け、2017年2月期には1兆1,500億円の売上水準に達しています。

生鮮品への参入が意味することは?

そのセブンプレミアムがいよいよ生鮮品を始めるというのです。3月9日より、「野菜・果物」「精肉、卵」「鮮魚」の生鮮3品の新PB『セブンプレミアム フレッシュ』を新たに展開。第一弾は、豚肉やバナナ、サーモンなど30品目。3年間で500億円の売上高を目指します。

さて、この計画にはひとつの重要なポイントがあります。それは今回のセブンプレミアムは、主にイトーヨーカドーで販売される計画だということです。

セブンプレミアムは、その8割がコンビニで売れているため、セブンイレブン専用商品に思えるかもしれませんが、歴史をさかのぼるとイトーヨーカドーで最初の販売が始まり、その後、セブンイレブンでも取り扱うようになって成長したという経緯があります。

あくまでセブンプレミアムは、セブン&アイ・ホールディングスの共通ブランドなのです。

では、なぜ今、イトーヨーカドーに新たなセブンプレミアムの商品が必要なのでしょうか。そこにはグループの中において、イトーヨーカドーの業績が不振だという背景があります。

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