キャリア

ちょっぴりネガティブ「すみっコぐらし」が大人に刺さる理由

リラックマも生んだサンエックスの戦略

「ここがおちつくんです」がキャッチコピーのキャラクターシリーズ「すみっコぐらし 」。企業とのコラボレーショングッズを含めて店頭で見かけない日はなく、3月25日に発表された「日本キャラクター大賞2019」では、見事グランプリを受賞しました。7周年を迎えた今も安定した人気を見せています。

すみっコぐらしはキャラクター商品全体の売り上げ累計は現在200億円。ライセンシー社数は、170社(2019年現在)となっています。すみっコぐらしはキャラクター開発とオリジナルデザインの文房具や雑貨の製造販売を手がける「サンエックス」のオリジナルキャラクター。「リラックマ」や「たれぱんだ」といった数々のヒットキャラクターを生み出してきた会社です。

老若男女から愛されるキャラクターデザインはどのように行われたのでしょうか。さらにファンを飽きさせない商品企画の背景について、すみっコぐらしの生みの親であるデザイナーのよこみぞゆりさんと、キャラクター事業部の桐野朋子さんに話を聞きました。


「かわいい」だけではないキャラ

すみっコぐらしのキャラクターは、寒がりで人見知りの「しろくま」、恥ずかしがり屋で気弱な「ねこ」、硬いから食べ残された「えびふらいのしっぽ」など少しネガティブ。この人気キャラクターを生み出したのが、デザイナーのよこみぞゆりさんです。

よこみぞさんがキャラクターデザインの職を目指したのは、子供の頃にサンエックスのキャラクターである「たれぱんだ」「アフロ犬」「リラックマ」にハマり、「この会社に入ってキャラクターを作りたい」という夢を抱いたことがきっかけだとか。美大を卒業後、無事に入社したよこみぞさんは、社内のコンペで学生時代にノートのすみっこに書いていたキャラを提出。見事採用となったものが、今やサンエックスで一二を争うヒットキャラクターになりました。

よこみぞさんの仕事の大まかな流れは、新シリーズの発売に合わせて、それぞれのテーマ・ストーリー・アートをチームで検討し、アートが完成したら、それぞれのアイテムにデザインを落とし込むというもの。自社商品の開発以外にも、出版やライセンス商品の監修など、多岐に渡る仕事に取り組んでいるのだとか。

「私個人の考えになりますが『ただかわいいだけではないキャラクター』であることが、弊社のキャラクター全体に共通する強みだと感じています」

サンエックスのキャラを一途に想い続けたよこみぞさんは、自社のオリジナルキャラクターの魅力についてこう語ります。

重要なのは“ひっかかり”

すみっコぐらし(C)2019 SAN-X CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

この「ただかわいいだけではないキャラクター」づくりのポイントが、シリーズの世界観の構築やキャラクター設定。これがサンエックスのキャラクターの持ち味でもあります。

「見た目のかわいさだけでなく、それにプラスして共感、シュール、ネガティブ、ちょっと変など、なにかひっかかりのあるコンセプトがあることを意識しています。また、平面だけでなく、(グッズとして)立体になった時のかわいさも、初期の段階から考えて制作しています」(よこみぞさん)

「〇〇のふりをしている」「〇〇なのに、〇〇」など、哀愁を感じさせるキャラクター設定にも、すみっコぐらしにファンがハマる要因があるようです。

よこみぞさんが入社した同年の社内コンペで評判が良かったというすみっコぐらしは、順調な滑り出しをしたように思われますが、キャラクターがデビューするまでに、かなりの試行錯誤があったのだとか。

「社内コンペで発表した時から、キャラクターのラインナップは何度も練り直しました。自分のこだわりや好みをどこまで通すか、他の人の意見の取り入れ方に悩み、もっとネガティブな方向へ振り切りたいという気持ちもありましたが、最終的には程よく『ちょっぴりネガティブ』なキャラクターにまとまりました」(同)

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