はじめに
「キャラ好きな大人」が欲しいもの
キャラクターグッズというと子供のものと思われがちですが、「キャラ好きな大人」は日本にたくさんいるといいます。
「キャラクターを作る際は『自分がユーザーだったら好きか、欲しいか』を常に考えています。私自身『キャラ好きな大人』として、自分が欲しいものを作り続けていきたいと思っています」
キャラクター愛を持ったデザイナーが手がけたからこそ、子供のみならず大人のユーザーの心も離さないキャラクターに成長したともいえそうです。
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キャラクター事業部の桐野朋子さんによると、すみっコぐらしのターゲット層は大別すると、「子供を中心としたファミリー層」と「20〜30代のコアユーザー」。このように、メジャーなキャラクターでファン層が2つあるのは珍しい現象だそう。大人の男性のファンも増えていて、すみっコぐらしの世界観に癒されているようです。
「最近、大人の男性からも注目され始めていると実感しています。お子さんや彼女が好きで知ったなど、周囲の方からの影響でファンになっていただけるケースが多いようですが、最近はキャンペーンや店頭で見かけたり、LINEやスマートフォンのゲームアプリ、書籍からなどと入り口が多岐に渡っています」
大人も子供も疲れている時代
すみっコぐらしに対して、ヒットキャラクターであるたれぱんだ、リラックマも幅広い層のファンを持ったキャラクター。どれも「ほっこりする」「ゆるい」「癒し系」などが共通項として挙げられます。
「それぞれ、キャラクターとしてのデザインだけでなく、深いストーリー性と共感性の強さが特徴です。アイコンとしてだけでなく、『生きている』お友達のような存在に近いものと解釈しています」(桐野さん)
さらに大人がキャラクターに「癒し」を求める背景については、次のように考えているそうです。
「たれぱんだが登場した頃は、今ほどにSNSが発達していませんでした。また、リラックマが登場した頃は世の中の経済状況が厳しく、社会人を中心に『癒されたい』という気持ちが強まっていて、違った時代背景があります。すみっコぐらしが登場した今日は、大人だけでなく子供も疲れていたり、不安な気持ちや人間関係の悩みを抱えることが多くなっているように思います。
弊社としても、『売れるキャラクター』ではなく、その時代に必要な『癒し』を持ったキャラクター、コミュニケーションツールとなるキャラクターが、結果的に評価され続けているように感じています。すみっコぐらし、たれぱんだ、リラックマはそれぞれ、期せずして子供から大人まで皆に『寄り添う』存在として、あり続けたのだと思っています」(同)
時代の変化とともにキャラクターに求められる癒しの形・効果は、時代と共に細かい変化はありますが、本質的には変わらないと感じていると桐野さん。人に寄り添う姿勢が、幅広い世代に愛されるポイントのようです。