はじめに

参加者が感じているメリットとは?

前出の20代女性の友人だという30代男性のカード保有者は「コストパフォーマンスを求めたら、他にもいろいろなカードがあります。でも、時間を楽しむという観点であれば、こういうカードを持つ意味がある」と語ります。

参加者
東京駅の夜景を眺めながらグラスを傾ける参加者

ソーシャル・アワーの常連だという、ネット通販会社経営の30代男性は、もともと交流会が好きではなかったそうです。しかし、おいしいワインと食事に出合えることに加えて、高い年会費を払っているので行かないと損、ということで参加してみたのだといいます。

すると、食事のおいしさはもちろんのこと、いろいろな人と知り合えて、仕事の刺激になったそうです。「絶対に予定を空けておこう」。それ以来、1年半にわたって毎月参加しているといいます。

「皆さん、話をする前提で来ているので、1人で来るのがオススメ」と、常連の男性。知り合った会員から、ラグジュアリーカードのどのサービスが良かったか、体験談を聞けるのもメリットだと力説します。「ラグジュアリーカードを最大限利用するためにも重要なイベントです」(同)。

華やかなイベントの陰に地道な努力

2年近く前に始まったソーシャル・アワー。当初は知名度もなく、初回の参加者はわずか3人でした。しかし、現在では1開催当たり50~60人が来場。1回当たりのキャパシティが20人程度のため、10人近くが待つ事態にもなっているそうです。

人気の秘密は、ラグジュアリーカード側の地道な努力。ホテル側と毎回、議論を重ね、メニューやサービスの品質を担保しているといいます。たとえば、カツオの切り身を出そうとした時、女性も来場するので、切り身の大きさにも注文をつけたそうです。

地道な満足度向上のための取り組みが奏功し、4月からは開催場所を拡大。フォーシーズンズホテル丸の内 東京に加えて、パーク ハイアット 東京、アンダーズ 東京、ダイニングウイスキーバー「CABIN」が会場となり、毎週開催となりました。

ワイン
5月のソーシャル・アワーで提供されたビンテージワイン

ラグジュアリーカードは、なぜこんな手数のかかるイベントを開催するのでしょうか。

理由の1つは、他のクレカにない体験ができるカードであり続けたいという経営陣の考えがあるようです。同社の経営陣は、いずれも他の高級カード会社出身。前職時代には大企業ゆえに実現できなかったスピード感のあるサービス提供に重きを置いているといいます。

もう1つの理由が、ユーザーと顔見知りになることで、直接要望を聞くことができるという点。利用者の生の声をカード発行会社と共有し、新規サービスの開発につなげているそうです。

華やかなイベントとは真逆の、地道な運営によって支えられているソーシャル・アワー。それがカード保有者をして、高い年会費を払ってでも会員でいようと思わせる、1つの動機なのかもしれません。

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