はじめに
一人あたりのGDPは日本もイタリアも大きく変わらない
こんな感じでバカンスシーズンは仕事が滞りがちになるイタリア。このほかにもクリスマスシーズンに長期休暇があったり、有給をしっかり消化できる風潮があったりと、休むことへの自由度は比較的高い環境と言えます。こんなに休んでいて、社会は回っているのでしょうか。
IMF(国際通貨基金)の調査によると、2018年におけるイタリアのGDPは2兆722億ドル、これに対し日本は4兆9719億ドルとなっており倍以上の開きがあります。
数字だけを見るとイタリアの経済は停滞しているように見えますが、実は一人あたりのGDPに換算してみるとイタリアは34,260ドル、日本は39,306ドルとそれほど大きく離れていません。バカンスシーズンで大きく業務が停滞する時期があっても、全体の生産性はそれほど大きな差がないのです。
プライオリティの低い仕事は後回しに
休暇はしっかり取るけど生産性は落とさない。ある意味では理想的とも言える働き方です。もしこうした働き方ができれば、日本もヨーロッパのように長期休暇の取りやすい社会が実現できるかもしれません。
日本とイタリアの働き方で最も大きな違いを感じるのは、業務の優先順位がはっきりしていることです。イタリアでは日本に比べると一人ひとりの業務内容がはっきり分かれていることが多く、従業員も自分の仕事を終わらせることに集中します。
そのため、自分の業務に直接関係しない作業に関してはプライオリティは低め。たとえ頼まれたとしても、時間のある時に後回ししたり、場合によってはそのまま放置することも珍しくないのです。
休みは長く取る、でも生産性は下げない。こうした働き方を実現するためには、効率よく働くしかありません。そのため、イタリア人はあくまで自分の与えられた仕事にフォーカスし、それ以外は業務(と自分への評価)に支障のない範囲で切り捨て「要領よく」仕事を進めていくのです。
人にとってはこうした業務態度は不真面目と感じるかもしれません。しかし、成果主義のイタリアでは自分の業務をしっかりとこなし、就業時間内に終わらせていれば特に咎められることはありません。効率よく仕事を片付けて定時に帰ることができれば、そのぶん自分の時間も確保できQOLの向上にもつながるでしょう。まずは今日の残業をなくすために、仕事のプライオリティを見直してみるのもいいかもしれません。