はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、3人の子供を抱える40代の夫婦。老後に備えたいものの思うようにやりくりができないといいます。老後資金はいったい、いくら必要になるのでしょうか。またマイホームは購入すべきなのでしょうか。FPの前野彩氏がお答えします。
老後には最低いくら必要でしょうか。また、マイホームを購入したほうがよいのでしょうか。
食費を減らすと健康に良くない影響が出てしまうのではと考えたり、教育は財産だからと塾代や習い事にお金を使ったり、自分の医療費(歯医者)にお金がかかったりするため、やりくりがうまくできません。何を減らして節約すべきなのでしょうか。アドバイスよろしくお願いいたします。
〈相談者プロフィール〉
・女性、42歳、既婚(夫:48歳、公務員)
・子供3人:18歳、15歳、12歳
・職業:パート
・居住形態:賃貸
・毎月の世帯の手取り金額:約35万円(うち妻8万円)
・年間の世帯の手取りボーナス額:100万円
・毎月の世帯の支出目安:約32万円
※退職金は2000万円ほど
※住宅手当として月2.7万円支給(手取りには含まず)
【支出の内訳】
・住居費:8.7万円
・食費:6万円
・水道光熱費:2.3万円
・教育費:2.5万円
・保険料:2万円
・通信費:2.3万円
・車両費:2万円
・お小遣い:4万円
・その他:2万円
【資産状況】
・毎月の貯蓄額:3万円
・現在の貯蓄総額:1000万円
・現在の投資総額:なし
・現在の負債総額:なし
前野: 老後が不安とのこと。ズバリ○千万円! とお伝えしたいところですが、必要な老後資金は人によって変わります。
「自分の場合はいくら必要なのか?」を具体的に考えるしか、答えはありません。「仮に、老後がこういう生活だとしたら……」というお試し条件でかまいませんから、“あんしん老後”のための方法を考えてみましょう。
老後のカギを握る「6つの情報」
老後が不安になったときには、自分の情報を整理することから始めます。必要な項目は、大きく6つです。
<収入に関するもの>
1.年金の目安額: ねんきん定期便やねんきんネットで確認
2.退職金の有無とその金額: 職場の担当者や退職金規定を確認
3.年金以外の65歳以降の手取収入: 再雇用や企業年金、確定拠出年金、満期保険金などを確認
<支出に関するもの>
4.年金受給時の生活支出: 65歳以降の毎日の生活を想像して支出額を確認
5.住宅ローンの残高: 住宅ローンの償還予定表やネットのシミュレーションで確認
6.ゆとり・予備費用: 旅行や車の買い替えなど、年金生活時のまとまった支出を確認
これら6つの項目がわかれば、自分で大まかな老後資金を計算できます。