はじめに

6月に確認すべきは住民税です。6月の給与から天引きされる住民税が変わります。そして、7月から来年の5月までは住民税の額はずっと変わりません。今回は会社員の住民税がどのように決まっているのかを、所得税と比べながらお伝えします。


実は所得税より負担が重い住民税

給与天引きされる税金には、国税である所得税と、地方税住民税の2つがあります。

所得税はその月の給与収入が少なければ、徴収される税金は減り、年の途中で扶養家族が増えて会社に伝えれば、それを織り込んで、徴収する税金が減ります。また、賞与があれば賞与からも税金が徴収されます。

一方、住民税は前年の所得に対する住民税を、6月~翌年5月までの給与から12カ月で分割して徴収されます。住民税はその月の給与収入や扶養家族の状況、賞与などとは全く連動していません。前年の賞与も含めた給与収入合計に対する住民税を1/12ずつ徴収しますから、月々の負担は、所得税よりもどうしても重くなりがちです。

所得税は5%~最高45%まで7段階の超過累進税率となっています。所得が多いほど高い税率になるように工夫されているのですが、実は所得税の税率が5%の人が納税者の約6割で、10%の税率の人は全体の2.5割。残り1.5割の人が税率20%~45%です。

一方、住民税は所得に対して一律10%の税率。ということは、税金を納める人の約6割は、住民税の負担が所得税の2倍となっているのです。

税金を計算するうえで所得控除の制度があります。一人一人の生活の事情を考慮して、税率をかける前の金額(所得)から差し引くもので14種類あります。

養わなければならない親族がいたり医療費がたくさんかかった場合、障害がある場合など、税金を納める力が弱くなっている状態のときに、税金の負担を軽くするために所得から差し引けるようになっているのです。税率をかける前の金額が小さいほど税金負担は少なくなります。

所得控除の項目は所得税も住民税もほとんど変わりありません。ただし、所得から差し引く金額が住民税の方が小さいのです。

例えば、所得控除を引く前の金額が100万円とします。ここから誰でも差し引ける金額(基礎控除といいます)が、所得税は38万円。一方、住民税の基礎控除は33万円です。

所得税なら100万円-38万円=62万円、5%の税負担で、3万1000円。ところが住民税なら100万円-33万円=67万円、10%の税負担で、6万7000円。また、住民税は均等割と言う年会費のような定額の税金(5000円)が加わります。

所得税の税率が住民税と同じ10%の人でも、所得控除は住民税の方が小さいため、結局住民税の負担の方が重くなってしまうのです。つまり、所得税率10%以下である約85%の納税者は住民税の方が税金が重いといえます。

住民税で負担額が給付額が決まるものも

さらに、行政サービスに対する負担額や給付額が、住民税の額で決まる側面もあります。保育施設の保育料や高等学校就学支援金制度、高額療養制度の自己負担額などです。

このように住民税は、私たちの負担する税金としてかなりの部分を占めるうえに、行政サービスの給付や負担を決定する基準となり、家計に大きな影響があります。

ところが一般的には、所得税に比べ住民税はどうしても添え物なように捉えられてしまうのはなぜでしょうか? これは、住民税の税額の決定システムに原因があると言えます。

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