はじめに

毎月25日は、多くの企業や組織が給与の支払日に設定している日です。他人の懐事情は誰しも気になるもの。6月3日配信の本欄でも、有価証券報告書記載の従業員の年間平均給与を、東京商工リサーチが集計・発表した、2018年の上場企業の平均年収最新ランキングにどんな会社が登場しているかを取り上げました。

ランキングトップはM&AコンサルのGCAで、平均給与は2,063万円でした。しかし実は、このランキングには登場していないけれど、GCAよりも平均給与が高い会社があります。キーエンスという会社です。

東京商工リサーチのランキングから漏れてしまったのは、上場会社のうち2011年決算から連続して比較可能な企業を集計対象とし、なおかつ変則決算の会社を除外したから。キーエンスは頻繁に決算期を変更しているのですが、この点は後で触れるとして、同社の2018年3月期の年間平均給与はGCAを上回る2,110万円でした。

他の平均年収ランキングでは上位の常連となっている、このキーエンスという会社。いったいどんな会社で、どうしてこんなに高額の給与を従業員に支払うことができるのでしょうか。


平均給与は31年間で5.6倍に

キーエンスは、工場設備の自動化に使われるFA用センサーなどを製造販売している会社で、2013年辺りから驚異的な成長を遂げています。取締役名誉会長の滝崎武光氏が1972年に創業。1974年に法人化し、その10年後に上場を果たしています。

上場後初の決算となった1988年3月期の年間平均給与は372万円でした。同じ時期に高給で有名だった東京放送(TBS)は746万円、三菱商事は464万円でしたから、さほど高い水準ではありませんでした。

しかしその後じわじわと上昇、2001年3月期に1,000万円の大台に到達します。翌2002年3月期はいったん989万円に後退しますが、2003年3月期以降は毎年増え続け、2008年3月期は1,397万円。あと一息で1,400万円に達するというところでリーマンショックが起きました。

年収推移

この影響を半年間受けた2009年3月期は1,135万円、年間を通して影響を受けた2010年3月期は1,008万円に減ります。しかし、2011年3月期からは再び増加に転じます。2012年以降は破竹の勢いで伸び、2018年3月期についに2,000万円に到達しました。

それでは2019年3月期はというと、公表されたばかりの2019年3月期の有価証券報告書をチェックしてみたところ、前年を上回る2,110万円でした。しかも従業員の平均年齢は35.8歳です。上場初年度は27.8歳でしたので、31年間で8歳しか上昇していません。

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