日本に大豆が伝わったのは弥生時代だと言われています。それから大豆は醤油や味噌、納豆に豆腐……と、姿を変え、日本の暮らしに欠かせない存在となりました。
中でも大豆そのものを炒って粉にしたきな粉は、豆の風味をそのまま楽しめる身近な食材。お料理にお菓子にと、日々の生活の中にも溶け込んでいます。
幼い頃、祖母がお団子を作るその傍らで、私は皿に盛られたきな粉をさじで少しずつすくっては口に運んでいました。祖母がよく言っていたさじ(スプーン)という言葉も、とろけるようなきな粉の味も、とても優しい印象として残っています。
今回はそんな思い出の味。まるで“さじできな粉をすくって食べている”ようなおやつのレシピを考えました。忙しい毎日です。ほろほろっとしたどこか懐かしいきな粉の味わいに、そっと心も優しくほぐしてあげてください。