はじめに

金融庁がまとめた報告書から「老後2,000万円問題」が国会で大論争を起こしました。

2,000万円という平均値が独り歩きをしている様相ですが、実際に自分の家計ではどうなのか?これからどうすればいいのか?

気になるところではないでしょうか。


アラフィフ主婦たちは、このまま扶養で働いても大丈夫?

筆者はファイナンシャルプランナーとして個人のお金に関するご相談や講座を開催しています。先日「女性向け知って納得!扶養・税金の話」をテーマにお話をさせていただいたところ、参加者のほぼ全員が働き方について悩んでいることを改めて実感しました。

参加者は主に40代・50代のパートで働く主婦たちです。夫が会社員の場合、税金や社会保険で損をしたくないと年収を106万円あるいは130万円以内に抑えて働いている方が多いようです。

しかし本当にそれでいいのか?不安に思われてもいるのです。制度の変化に伴い考えることも増え、どうしたらいいのかわからないために現状維持という状況になっているようです。

夫が5歳以上年上、あるいは早期退職を選んだ場合は要注意

「夫の定年」あるいは「何歳まで会社員として働く予定か」を夫婦で話をされている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。ある民間調査によると夫婦の6割近くが、老後の仕事や生活について配偶者と話し合っていないと回答しています。

つまり、妻としてはあと10年間扶養で働けると思っていたとしても、夫の状況次第では扶養の制度に乗っかることはできないのです。

特に注意したいのは、夫が5歳以上年上の夫婦の場合です。会社員である夫が65歳になった時点(誕生日の前日)で老齢基礎年金の受給資格を満たすときには、妻は第3号被保険者から第1号被保険者に切り替えをする必要があります 。

たとえば、夫が8歳年上の妻のケースでは、夫が65歳になった時点で57歳の妻は第1号被保険者となります。つまり、60歳までの3年間は妻自身で国民年金保険料を納めることになります(夫が老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていないときは、65歳ではなくて資格を満たした月の翌月1日の切り替えとなります)。

また、夫が60歳で早期退職をした場合に妻は52歳で第1号被保険者になるので、60歳まで8年間の国民年金保険料を納める義務が発生します。

今後の働き方に悩まれているアラフィフ主婦は、夫の状況も意識しておかれた方がよいでしょう。たとえば、第二の人生では「脱サラして自営業になる」と夫が考えているケースもありえます。

その場合には、夫婦それぞれが第1号被保険者となり国民年金保険料を個々に納める必要があります。また、国民健康保険には扶養家族という概念がないため、保険料が高くなることも考える必要があります。

アラフィフ夫婦の場合、老後に向けて自分たちのライフプランを話し合ってみることをオススメします。お互いに思っていることをすり合わせることで、案外、今後の働き方の方向を決めることができるかもしれません。

そもそも扶養は"夫が会社員"という条件付きで成り立っているものだと改めて認識しておきましょう。

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