はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回は読者の家計の悩みにプロのFPとして活躍する内藤忍(ないとう・しのぶ)氏がお答えします。

昨年大学を卒業し、塾のアルバイトとして1年3ヶ月働いています。ほとんどの時間を就職活動とアルバイトに割いており、月収は10万円前後です。その内、3万円前後を貯金しており、現在、10万円ほど貯金できています。

もし仮に株に手を出した場合、どのくらい大変なのでしょうか? 1日中画面に張り付いている映像をテレビで見たので、そんなことをできるわけないと思っています。また、株に関する基本知識はどうやって得るべきでしょうか? 本屋にはたくさんの株の本が並べられているので、どれを選ぶべきなのかさっぱりです。
(20代前半 独身 男性)


内藤: まず最初に申し上げておきたいことは、いきなり自分で銘柄を選択して株式投資をはじめることは、やめるべきだということです。

株式投資で長期的に成功するためには、投資する銘柄に対する深い知識が求められます。実際に情報を収集し、分析して投資判断を行うのは簡単ではありません。

個人投資家の方で、そこまでの時間をかけて自分の能力で銘柄を選び出せる力のある人は、ごく少数に限られています。プロの投資家でも簡単に成果を出すことができないのに、素人がいきなり適当に投資をしてもうまくいくはずがありません。

初心者はまず「投資信託」から

これから投資を始めようという人には、投資信託をおすすめします。

なぜなら投資信託は複数の銘柄に分散して投資を行うので、株式のように特定の銘柄に集中することがなく、その分リスクも抑えられているからです。

そして、そのなかでも「インデックスファンド」と呼ばれる市場平均に連動した運用成果が得られる商品がよいと思います。インデックスファンドなら、ネット証券で購入すれば販売手数料がかかりませんし、保有期間に応じてかかる信託報酬も低く抑えられています。

さらに1,000円程度から毎月の積立ができます。相談者の方のように毎月コツコツと資産を積み上げていきたい人には、ぴったりの商品なのです。

インデックスファンドには、日本株だけではなく、外国株や外国債券、不動産(REIT)などさまざまな投資対象の商品がラインアップされています。これらを組み合わせれば日本だけではなく、グローバルな投資をすることができます。

月次積立のサービスを使えば、面倒な取引を毎月する必要はなくなります。証券会社に残高があれば、毎月自動的に決まった金額を積立てしてもらえるのです。これなら定額を積立てることが、誰でもできますね。

学ぶべきは「資産配分」の方法

もちろん本を読んだりセミナーに出たりして、投資の勉強をしていくことも大切です。ただ、投資に関する知識を得ようとする場合に間違えてはいけないのは、銘柄分析の方法を解説した本ではなく、株式、債券、不動産、為替といったさまざまな投資対象にバランスよく投資する方法を解説した本を選ぶことです。

なぜなら、資産運用は銘柄選択よりも資産配分(アセットアロケーション)によって成果の大半が決まってしまうからです。

残念ながら資産配分にフォーカスした書籍はあまり世の中には存在しません。手前味噌にはなりますが、投資初心者の方のために、『貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい』という本を書きました。3段ロケットで資産をゼロから増やしたい人に必要な知識をコンパクトにまとめた本です。ぜひ参考にしていただければと思います。

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