はじめに

6月3日に金融庁が公表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書がきっかけとなり、資産運用に強い関心が集まっています。夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯が年金に頼って暮らす場合、老後に約2000万円が不足するという試算が報告書の一部に書かれていたため、定年後は年金だけで生活できると考えていた人たちに大きな衝撃を与えたようです。

しかし、老後資金以外にも備えないといけない資金はあり、この連載『お金の育て方』のタイトル通り、どのようにお金を育てていくかを国民全員が考えないといけない時代になっています。今回は老後資金以外にも考慮しなくてはいけない資金のうち、子供の学費をみていきます。


老後資金以外のお金も考慮せよ

今回の「老後資金2000万円不足問題」を受けて、現役中にどのようにして2000万円を作るかを気にしている方も多いかと思います。しかし、そのためには定年までにどのくらい稼げて、どのくらい使うのかを明確にしなくてはいけません。

たとえば、結婚をして子供ができた場合、1人にかかる学費や習い事の費用なども知っておく必要があります。筆者も未就学の子供が3人いるため、この点についてはしっかりと知っておかなければと、さまざまなデータを確認しています。

実際に公開されているデータを基に具体的な数字を見ていきますが、その前に注意点を1つ。前述の老後資金の問題も同じことがいえますが、不特定多数の人に具体的な数字を提示する場合、中立性を担保するために公開されている公的なデータを基に数字を算出していきます。そして基本的には平均値を使っていきます。

この作業によって算出される数字を見て、さまざまな反応を見せる人がいますが、“あくまで平均値を基に具体的な数字を算出しているだけ”ということを念頭に置いて数字を見てください。十人十色という言葉がある通り、人によって条件がバラバラなため、実際に出てくる数字が自分と乖離することもありますが、あくまで平均値と踏まえると過度な反応を起こさずにすむと思います。

子供1人にかかる学習費

子供の学習環境も日々進化しており、現在はさまざまな進路が考えられます。どのような進路を進むかは、各家庭の資産状況、親の希望、子供の意思や能力などの要因によって変わってくるので、家庭によって色々な選択肢があると思います。ここでは代表的なケースをいくつか見ていきます。

下表は文部科学省が公表しているデータを表にしたものです。仮に幼稚園から高校卒業まで全て公立に通わせた場合、学習費は約542万円かかります。幼稚園から中学校まで公立で高校だけ私立だと約719万円、全て私立だと約1772万円かかります。

全て公立か、全て私立かによって、幼稚園から高校卒業までにかかる学習費総額費は約3.3倍もの差があります。このデータからわかることは、1人子供を育て上げるのも、進路によって必要な金額は大きく変わってくるのです。

よって、今後いくら必要かを考える時、子供にどのような進路を歩ませるかを早くから考え始めないといけないのです。親が進路を決めるのではなく、子供に最大限の選択肢を用意してあげたいと思うのであれば、それなりの額を早い段階で貯めておく必要があります。

ちなみに、ここでいう学習費総額とは、学費以外にも給食や習い事の費用も含まれています。

子供の学習費調査

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