はじめに

株主と社長はどっちが偉い?

それでは、投資家と社長はどちらが偉いのでしょうか? 冒頭の「在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫といわれた」という発言の内容はいくつか解釈の仕方があると思いますが、「テレビ局は吉本の株主だから、投資先の企業(吉本)の印象が悪くなるような事はしない」という意味があったように思われます。

この発言だけを見ると、株主よりも社長の方が偉そうに思うかもしれませんが、正確にいうと株主と社長は役割が違うため、一概にどちらが偉いとはいえません。従来は企業経営を健全に行うために、「経営と所有の分離」が行われます。

たとえば、ほとんどの株式を社長が保有している場合、大株主でもある社長が自分に有利に働くような意思決定をすることで、社長以外の株主にとっては不利になることが生じやすくなってしまいます。そこで、株主は事業に必要なお金を出し、第三者的な視点から企業に都度提案をし、一方で経営者は役員報酬という業務委託料をもらい、会社の経営に専念する分業制によって会社が経営されていきます。

そう考えると、どちらが偉いという話ができない理由はわかるでしょう。それだけに、企業の社長が株主を軽視するような発言は厳しく叩かれるのです。

日本独特の文化、株主優待

日本で株式投資をすると、株主であるメリットを様々なかたちで享受できます。前述の様に投資先の企業が成長して評価されれば、保有している株式の価値が上がりますし、企業によっては株主に定期的に配当金を出す場合もあります。これは海外でもそうですが、日本には株主優待という独自のメリットもあります。レストランで使えるお食事券や、自社製品の詰め合わせ、自社施設の割引利用券など種類は非常に豊富です。

株価自体は企業の業績やマーケット環境によって上下するため、投資資金が目減りしてしまうリスクもありますが、株式投資を通じて、株主の権利というものを実感してみてもいいかもしれません。

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