はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、投資と貯蓄の比率を6:4にしたいという37歳の男性。何社か掛け持ちでロボアドの積立投資を行っていますが、それだけではなかなか希望の比率に近づかないといいます。FPの伊藤亮太氏がお答えします。
資産に対する投資と貯蓄の比率を6:4にしたいと考えています。ですが、自分は株やFXなどの投資は向いていないと感じており、投資信託の積立をメインに考えたいと思っています。現在、ロボアドバイザーでの積立投資を何社か掛け持ちでやっております。内訳は以下の通りです(それぞれ月4万円積立)。
・ロボアド積立1: 230万円
・ロボアド積立2: 10万円
・ロボアド積立3: 10万円
しかし、このままではなかなか6:4には達しないので、次の3択で悩んでいます。
(1) 投資積立額を増やす
(2) なんらかの別の投資を行う(株やFX以外)
(3) 何もしない
アドバイスいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
〈相談者プロフィール〉
・男性、37歳、既婚(妻:37歳、会社員)、子供2人(6歳、4歳)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・毎月の世帯の手取り金額:75万円
(夫:44万円、妻:31万円)
・年間の手取りボーナス額:330万円
(夫:210万円、妻:120万円)
・毎月の世帯の支出目安:54万円
【支出の内訳】
・住居費:11万円
・食費:10万円
・水道光熱費:1万円
・教育費:10万円
・保険料:8万円
・通信費:1万円
・車両費:4万円
・お小遣い:8万円(夫5万円、妻3万円)
・その他:1万円
【資産状況】
・毎月の貯蓄額:1万円
・毎月の投資積立額:20万円
(ロボアド12万円、投資信託8万円)
・現在の貯蓄総額:2267万円
・現在の投資総額:420万円
・現在の負債総額:3000万円(住宅ローン)
伊藤: ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太です。相談内容にご回答いたします。
きちんと分散できているか?ロボアドの投資先を確認
まず、ロボアド積立の中身がどうなっているか確認しましょう。
複数社で掛け持ちされているとのことですが、運用先は被っていないでしょうか? テーマ投資や地域別投資など、分散させていれば問題ありませんが、すべて日本株式といった状況であれば、その資産配分自体も見直していく必要があります。そもそも複数社に分ける意味があるのか、といったことも指摘できます。ロボアドと投資信託の投資内容をまずはご確認ください。できるだけ投資先を分けていくことが無難です。
仮に、米国、日本、新興国など分散させて投資ができている場合には、中長期的な資産形成としてそのまま継続してよいと考えます。ご相談者の場合、ご自身で様々に投資していくスタイルは向いていないようですので、AIやプロに運用を任せるロボアド投資や投資信託による投資がメインでよいと思います。
すぐに比率を変更したいなら貯蓄を投資に振り分けて
投資と貯蓄の比率を6:4にするにはどうすればよいかですが、最終的な投資配分が6:4になればよいのであれば、今のスタイルを継続していくのもアリです。すでに十分貯蓄がありますので、貯蓄はほとんど増やさずに投資していくスタイルがご相談者の場合向いています。
なお、今すぐにでも6:4の比率にしていきたいのであれば、ある程度の貯蓄(1000万円程度)を投資に振り分ける必要があります。この場合には、ご相談者が運用利回りをどの程度想定しているかによって運用配分は変わってきます。
株式やFXを除いて、できる限り手間がかからない投資となれば、不動産投資という手もあります。個別の不動産でもよいですし、不動産小口化投資、J-REITなどへの投資も検討できます。家賃や分配金を享受し、その資金をもとにロボアド投資などの積立てにあてれば複利効果を期待できます。不動産小口化投資やJ-REITなどを活用し、複数の地域へ投資していくことも検討できるでしょう。
もちろん、貯蓄1000万円をすべて不動産にまわす必要はありません。例えば、ロボアドや投資信託に追加で300万円投資(配分:ロボアドに100万円、投資信託に200万円)し、残りの700万円を不動産関連に投資してみてはいかがでしょうか?
こうすることで、ロボアドに350万円、投資信託に370万円、不動産関連に700万円投資することになります。投資商品の中でも分散が可能となり、全体で見ると投資が1420万円、貯蓄が1267万円となります。6:4の配分に近づきます。あとは、毎月の積立額の構成を変えることにより、最終的に6:4への資産配分へと近づけることが可能でしょう。
まとめて投資するのは避けたいということであれば、毎月の積立額をそれぞれ増やし、時間分散を図っていくことを検討しましょう。ロボアドも3つありますが、その中での配分も考えていく必要があります。
金利と控除を鑑みて、住宅ローンの繰り上げ返済も検討を
なお、これとは別に、住宅ローン3000万円がありますよね。おそらく10年間、住宅ローン控除の適用を受けるために、繰り上げ返済をしないという選択肢をとられているのだと思います。金利を支払うものの、住宅ローン控除の恩恵が受けられる、運用にまわした方が効率的であるといった理由から、運用を重視されているのだと思います。
金利にもよりますが、住宅ローン控除が適用できる10年間が経過したときや、金利と控除の見合いから返済した方がよいと感じた時には繰り上げ返済も考慮していかれるとよいと思います。
最後に、現状の家計収支からは、特段お困りになることはないと思います。ただ、教育資金が必要になってくることも考慮しながら、最終的な投資と貯蓄の配分はお考えください。場合によっては、投資部分を少し取り崩して必要な資金を工面することもあるかもしれません。
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