はじめに
中学受験に関する数字を森上教育研究所の高橋真実さん(タカさん)と森上展安さん(モリさん)に解説いただく本連載。
ここ最近、都内の公立中高一貫校、私立高校が相次いで高校からの入学者の募集停止を発表しています。特に豊島岡の高校募集停止は、難関校を目指す女子にはインパクトが強いものでした。
相次いで高校募集停止をする理由とは何なのでしょうか。また、それにより、中学受験にどのような影響があると考えられるのでしょうか。
今回の中学受験に関する数字…49/231
高校で生徒募集をしない都内私立高校は49/231校
<タカの目>(高橋真実)
前回取り上げた公立中高一貫校では、この春大きな動きがありました。東京都が、高校からの入学生も迎え入れていた、いわゆる併設型の中高一貫校を完全一貫型に変えると発表したのです。
富士高校、武蔵高校の2校が2021年度入学生から、両国高校、大泉高校が2022年度入学生から、白鴎高校についても2021年度以降に高校からの募集停止を予定しています。これが実現すれば、都立の中高一貫校は全て完全一貫型に移行することになります。
中高一貫校の高校募集停止は、私立でも進んでいます。今回のタイトルである「49/231」は都内の私立高校における高校非募集校、つまり完全中高一貫校の校数を示しています。
人気男子校の1つ成城中学・高等学校が今年から高校募集を停止したのに続き、本郷中学・高校が2021年度からの高校募集停止を発表しました。このニュースは中学入試関係者の間でかなり驚きを持って受け止められました。
高校募集のない49校中33校は女子校
高校からの非募集が多いのは女子校です。49校中33校が女子校です。つい先日、ここにも激震が走りました。豊島岡女子学園が2022年度から高校募集を停止すると発表したのです。
現在、都内の私立女子校で偏差値65以上(Vもぎを主催する進学研究会による)は慶應義塾女子高校と豊島岡女子学園の2校のみ。豊島岡女子学園が高校募集を停止すると、進学校はゼロになるというわけです。共学校を入れてもこの偏差値帯の進学校は2校のみとなります。高校入試において難関校にチャレンジする女子にとっては、難しい選択が迫られるわけです。
都内では、1990年代から私立の女子中学・高校の完全一貫化が進んでいます。我が家で娘に中学受験をさせようかどうか迷っていた10年ほど前には、多くの学校が高校募集を停止しており、先輩ママたちから「女の子は中学から私立に入れちゃう方が楽よ。高校からは選択肢が少なくなるから。」とアドバイスをいただいていました。
こうした流れは男子校や公立中高一貫校にも波及してきているのが最近のトレンドです。このように公立、私立ともに高校募集停止が進む背景とは何でしょうか。また、こうした流れは中学受験が広まる追い風となるのでしょうか。