はじめに

世間はお盆休み真っ只中。普段は会社勤めで、株式投資などに時間を割く余裕のない人にとっては、株式市場が開いているのに会社はお休みというこの時期は、自身の資産運用について再考する格好の機会といえます。

特に今年は、お盆から2ヵ月ほど前に、金融庁の金融審議会・市場ワーキング・グループがまとめた報告書に端を発した「老後の2,000万円問題」が世間を騒がせたばかり。自分の老後について、2,000万円必要かどうかわからないけれども、年金だけでは不足が生じるため、金融資産を取り崩していかないとならない、と漠然と感じている方も多いと思われます。

そこで今回は、2,000万円問題について、どのような気構えで接すべきで、個人レベルでどのような対策が可能なのか、考えてみます。


95歳まで生きると約2000万円が不足

まず2,000万円問題とはどのようなことか、振り返ってみましょう。

金融庁の報告書では、長寿化に伴い、無職の高齢夫婦世帯では月平均で約5万円の不足額が生じており、長寿化に伴う不足額の総額は20~30年の間で1,300万~2,000万円になると試算しています。不足額の根拠となる内訳は以下の通りです。

夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯の1ヵ月の支出は、食費や居住費、光熱・水道費、保健医療費などとして約26万4,000円。一方、年金(社会保障給付)などを合わせた実収入は約20万9,000円。つまり、月平均で約5万5,000円の赤字が発生するわけです。

ですから生活費は、65歳から20年生きるとして、5万5,000円×12ヵ月×20年で約1,300万円が不足。30年生きるとすれば、5万5,000円×12カ月×30年で約2,000万円が不足する、という試算となっています。

サラリーマンでも安泰ではない

足りない部分は、貯蓄から取り崩して生活していかなければなりません。サラリーマンならば退職金があるから大丈夫。そう思っていらっしゃる方もいるかも知れません。

給付額の推移

ただし、上のグラフを見ると、退職給付額は年々、減少傾向にあることがわかります。やはり、株式投資などを活用して、自助努力により老後資金を用意しておくべきではないか、と考えられます。

しかし、国内や米国の株式市場に目を移すと、米中貿易摩擦の激化懸念や米国での利下げ継続期待の剥落、円高基調を背景として、大幅に下落しています。こんなに下落するような株式で、老後の大事な資金を投資するわけにはいかない。そう思う方もいるでしょう。

確かに、大幅に下落しているところをニュースなどで目にすると、大切な資産運用として株式に投資することに不安になるのも仕方ありません。そこで考えておきたいのが、分散や時間を味方につける投資方法です。

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