はじめに
お盆に帰省した孫に祖父母がお小遣いをあげる「お盆玉」。数年前から少しずつ広まっているこの習慣ですが、シニア層を対象にしたあるアンケートでは約4割が「孫にお盆玉をあげる予定」と答えました。
どのくらいの額を渡すのが“相場”なのでしょうか。複数の調査から、お盆の新習慣の現状を探ってみました。
お盆玉をあげる人の割合は3~4割
あおぞら銀行が全国55~74歳の男女計約2,000人を対象に行った調査によると、「お盆玉」という言葉の認知度は41.5%と、2016年の調査開始以降、初めて4割を超えました。調査開始当初の認知度は16.6%で、年々上昇しており、女性に限ると認知度は47.3%と半数に迫りました。
「今年、お盆玉をあげる予定」と答えた人の割合は43.2%(前年比9.7ポイント増)。予定額は同300円増の6,100円と、微増しました。平均額は関東が6,500円、関西では6,100円と、関東のほうがわずかに高い傾向がありました。
お盆玉の認知度の推移
別の調査結果もあります。三井住友カードが小学生の子どもを持つ男女280人に調査をしたところ、37%の親が「子どもがお盆玉をもらっている」と回答。その平均総額は9,345円でした。
一方、自家用車を持ち、自分で運転をする20~50代男女のうち、今年のお盆に帰省する予定がある男女1,000人を対象にソニー損保が実施した調査をでは、親戚の子どもや孫にお盆玉を用意する人は32.3%、子ども1人当たりの平均額は9,984円となりました。
これらの調査を総合すると、お盆玉の相場はややレンジが広く、6,000~9,000円台。三井住友カードの調査では、子どもがもらうお年玉の平均総額は2万1,960円だったので、これと比較すると、お盆玉はおおむね半額以下であることがわかります。
帰省はうれしいけれど負担も大きい
お年玉に比べて、お盆玉の額が控えめなのはなぜでしょうか。前出のあおぞら銀行の調査では、シニア世代の負担の大きさが浮かんできました。
「帰省してくる子や孫がいる」と答えた人のうち、44.4%は「帰省にかかる交通費を負担している」と回答。その平均の負担額は2万9,700円でした。男女別では、男性2万8,200円、女性3万0,800円と、女性の負担額のほうが大きいという結果になりました。
また、交通費以外の支出も小さくありません。交通費以外で、子や孫の帰省時に使う予算は平均4万3,700円でした。こちらも、男性4万0,300円、女性4万6,700円と、女性のほうが負担は大きいことがわかりました。
交通費、交通費以外ともに平均負担額は2016年をピークに減少傾向にあるものの、レジャーなどに出かける機会が多い夏場の帰省は、出かける先の選択肢が限られる年末年始の帰省に比べると、年金暮らしのシニア層には大きな負担であるといえそうです。