はじめに
「近所づきあいをしていない」人はどのような人か
では、こうした「近所づきあいはほとんどしていない」人には、どのような特徴があるのでしょうか。家族構成と住居形態でみると(図表4)、「賃貸マンション・アパート」に住む人の割合が多く、なかでも「単身」の半数が「近所づきあいをほとんどしていない」と回答していました。
さらに、性・年代別にみると(図表5)、男女とも若い世代で高く、40代までは女性のほうが高い傾向にありました。若い世代は、平日・日中の多くの時間を仕事に費やしているために家におらず、また今の住居に住み続けるとも考えていないのかもしれません。つまり、地域と積極的に接点をもつ理由がないことから、「近所づきあい」をすることも、ご近所を知ることもないことが考えられます。
「近所づきあいをしない」人は地域情報も持っていない
さらにこうした層は、地域情報も手にしていない人が多いようです。自治体のさまざまな情報が掲載されている広報紙は、全国のほぼ全ての自治体で発行されています。
今回の調査結果では、地域の情報をどのような手段で得ているか聞いたところ、全体では、広報誌から得ている人が最も多く、続いて自治会・町内会の回覧板や家族、新聞などを通じて情報を得ていました(図表6)。
しかし、「近所づきあいをほとんどしていない」割合が高かった単身で賃貸マンション・アパートに住む人は、その約半数が「地域の情報を得ていない」という結果でした(図表省略)。地域情報の価値は見えにくいものですが、身近なところで健診、近隣の医療施設案内、育児に関することなどの健康医療福祉関連や防災に関する情報が掲載されています。何を見れば情報を得られるのか知っておくだけでも、いざという時に役に立ちます。
自分ができるかかわり方を見つける
近くにコンビニがあればたいていのモノが手に入り、インターネットを介せば出歩くことなく、いつでも・誰とでもつながることができます。わざわざ隣人とつきあうことの必要性を感じない、むしろ対面でのやりとりは「わずらわしい」ものかもしれません。
ご近所づきあいが盛んな地域であっても、地域独自の習慣やルールの中で全ての人が前向きで積極的に取り組んでいるわけでもないでしょう。一方で、冒頭の調査結果からは、近年増えている大きな地震や台風などの災害が起こるたびに、近隣同士で助けあい、つながりをもつことの大切さにも多くの人が気づいている様子もうかがえます。では、どのように地域と接点づくりをしていけばよいのでしょうか。
最初の一歩として、まずは地域の広報誌を手に取って読んでみてはどうでしょうか。自分が住む地域に何があるのか、どのような取組みがあるのか知ること、理由なく隣近所と知り合いになることに抵抗があるなら、地域の防災訓練に参加してみる、また最寄りの避難場所までの経路を確認してみるといった具体的なところから、少しずつ地域にかかわってみるといいかもしれません。