はじめに

「女性役員比率」で見てみると…

なぜ、このような結果になったのでしょうか。実は、この分析にはちょっと注意する点があります。

ここでは、女性役員が「いる」というだけで集計してしまいました。しかし、役員の数も考慮する必要があります。また、会社全体の役員の数も考えなければなりません。役員総数が多いのに女性役員が1人しかいない会社と、総数がそれほど多くないのに女性役員が1人いるのでは、意味が違うからです。

そこで下表では、取締役の人数で割った比率を使ってみました。ここでは「女性役員比率」と呼ぶことにします。取締役以外に執行役なども役員になりますが、ここでは基準とする目安で、取得しやすいデータを使っています。

そして、女性役員比率が高い、の定義は「0.1以上」としました。これは、取締役が10人いた場合に女性役員が1人以上いるということです。

女性役員比率

こちらの分析から、女性役員比率が「高い会社」は「そうでない会社」と比べて株式パフォーマンスがすべて上回っています(高い会社は表中の3項目で太字)。2017年5月基準では2年間の株式パフォーマンス評価も示していますが、こちらも高い会社は2.04%とプラスなのに対して、そうでない会社はマイナスとなっています。

女性役員比率が株価に影響するワケ

さて冒頭で、女性の活躍する企業の業績や株式が良いということに関して、企業固有風土仮説を紹介しました。実は、それ以外にもいくつか理由があります。

たとえば、女性の仕事の成果が正当に評価されない企業が多ければ、退職する優秀な女性が増える傾向も見られることになります。人材市場に優秀な女性スタッフが増えることで、積極的に女性を採用する会社は優れたスタッフを雇用できるということです。

今回は女性役員比率(女性役員数÷取締役数で算出)を使って分析しました。そして、2017年5月基準を使った分析では、この比率が1割以上の会社は特に2年後にあたる長期の株価パフォーマンスが良いという結果でした。

女性役員数と取締役数は有価証券報告書で公開されており、読者の皆さんもそれぞれの企業のウェブサイトでチェックできます。投資の際の参考にしてみてください。

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