はじめに

これから顕在化しそうな需要は?

ランキングにはまだ表れていないものの、検索動向や過去の傾向から、今後の需要の伸びが見込めそうな商品もあります。

今回の増税で特徴的なのは、食料品などの一部で軽減税率が適用される点。ただし、外食については対象外となり、10%の税率が適用されるため、外食の需要低下が考えられます。

こうした状況から、冷凍食品や大型の冷蔵庫、保存容器、調理器具などの消費が高まりそうだとみられます。買い替え需要に加えて、新規に買おうと思っていた潜在需要が、増税をきっかけに顕在化するという想定です。また、外食の機会が減り、自宅にいる時間が増えるので、食洗器などの家事時短商品の需要も増加しそうだと考えられます。

一方、過去の傾向から、今後の需要の伸びが見込まれる代表例が、コンタクトレンズです。前回の増税時は通常であれば1回に1箱だけ購入していた人が2箱購入するケースが増えたため、今回も同様の動きが起こり、清水さんの試算では通常の2.2~2.3倍の売れ行きとなりそうです。

コンタクトレンズ
前回同様、まとめ買いが見込まれるコンタクトレンズ

化粧品にも同様の傾向がみられそう(試算:1.2~1.8倍)。化粧品やコンタクトレンズは、キャッシュレス決済でポイント還元の対象となる中小の事業者では取り扱いが少ないため、いっそう駆け込みが起きやすい状況だといいます。

また、ペット関連グッズも、これから売り上げが伸びていきそうです(試算:1.4~1.7倍)。ペットフードは食品に該当しないため、税率は10%が適用されます。また、ペット愛好家の間でSNSなどによって情報が拡散されやすい傾向があり、ペットシーツなどの駆け込み購入も想定されます。

駆け込む際の注意点

季節的な要因で駆け込み購入が起こりそうなのが、マスク。例年インフルエンザ対策で需要が伸び始めるのが9月ということもあり、そこに増税前のまとめ買い需要が加わると、一気に消費が拡大する可能性があります。

また、ネットでの予約販売が増えてきたおせち料理にも、駆け込み消費が起こる余地があります。というのも、器にこだわったものだと食品には該当せず、10%の消費税率が適用される可能性があるからです。早いものだと9月から予約の受付を開始するところもあり、今年はおせち商戦の早期化も考えられます。

駆け込みによる恩恵が大きい高額消費は、今年は史上最長10連休のゴールデンウィークで多額の出費をしてしまったため、5~6月は大きな落ち込みがみられました。ただ、ボーナスの支給以降は回復してきているといいます。

紙幣
需要の伸びが期待される古い紙幣

こうした状況から、美術品・骨董品の駆け込み購入も期待されています(試算:1.4~1.5倍)。特に今年は新紙幣の発行が発表されたため、古い紙幣の取引が増加しそうだということです。

一方で、駆け込み購入をするには注意点もあります。そのうちの1つが注文のタイミング。9月中に注文したとしても、商品出荷が10月になってしまうと、消費税率は10%になってしまいます。また、9月の後半になれば、小売り側で在庫切れになってしまう懸念もあります。

消費増税前の買い物にあたっては、無駄遣いではないかという冷静な視点を持つとともに、うっかり時間切れにならないため、自分の中でしっかりと期限を決めて検討するのが吉といえそうです。

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