はじめに

IPOにIT企業が多いワケ

2018年は90社がIPOを果たしましたが、そのうち27社がIT企業でした(業種区分はQUICKに準ず)。構成比率は30%に達します。この年に限らず、IPO企業の業種を暦年の推移で見ると、IT銘柄のウエートの高さが目立ちます。

IPO

IPO企業にITが多い理由ですが、まず、通信コストの低減が挙げられるでしょう。ブロードバンドの普及に伴い、インターネット接続に定額制が導入され、IT企業の事業環境にとっては追い風となりました。

製造業とは異なり、製造拠点の確立などに伴う資金需要もありません。大規模なサーバー設置に伴う巨額のコスト負担などの例外もありますが、アイデアひとつで勝負ができ、経営者が若いうちにIPOまでこぎ着けるポテンシャルを秘めた業態の1つがIT企業だと思います。

IPOでも、過去のIT企業と比べると近年のIT企業は大きく中身が変わっているようです。足元の代表的な技術がAI(人工知能)であり、AI関連企業のIPOは人気化する傾向にあります。

しかも、AIを活用して具体的に何をしているかが肝要で、金融、交通、医療、教育といった有望な分野で活躍している企業のIPOが投資家の支持を受けているようです。さらには、すでに上場している著名な大型企業と業務提携している実績などがあれば、一段と人気化するケースもあります。

非製造業の注目点は?

非製造業では、小売りも毎年、IPO企業が名を連ねます。過去にはドラッグストアのマツモトキヨシ(3068)、ユニークなディスカンウンター「ドン・キホーテ」などを多店舗化するパン・パシフィック・インターナショナル(7532)、SPA(製造小売り)型のアパレル「ユニクロ」を手掛けるファーストリテイリング(9983)などを輩出しており、こちらも枚挙にいとまがありません。

小売業は立地産業でもあります。駅前立地のGMS(総合スーパー)がモータリゼーションの風潮に合わずに衰退し、専門店の群雄割拠を生んだように、小売業はピンチとチャンスが表裏のような業態です。一方が不振となれば、他方にチャンスが巡ってきます。

流行り廃りの激しい外食産業も、一部が小売りにくくられています。この業態もユーザーの支持を得れば一気に多店舗化し、短期間で急成長できる業態です。

それでは、製造業に見るべき業態はないのでしょうか。日本の基礎技術の研究は依然として盛んであり、そうした研究成果を生かした分野には勢いがありそうです。具体的には、AIを活用したロボットや、ハイテク素材などが考えられます。

2019年は9月17日現在までで44社がIPOを果たしました。いちよし証券では、2019年通年で95社のIPOを予想しています。IPO企業は新興市場活性化の起爆剤であり、大きく成長すれば、日本の産業構造を転換させるポテンシャルも秘めます。あなたも“第2のソニー”を探してみてはいかがでしょうか。

<文:投資情報部 宇田川克己>

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