はじめに

愛着を感じるデザインと合理性

まずはそのデザインです。思わず「カワイイ」「キュート」と愛着を感じる方も多いと思います。ボディカラーは5色設定、写真のモデルは新色の「ジョン・マンゴー」。鮮やかなボディカラーでありながら「美味しそう」なネーミングもフランス車ならではのセンスの良さと言えます。
トゥインゴ

とはいえ、このボディにこそ、トゥインゴが目指した「フランス車ならではの高い合理性」がギュッと凝縮されているのです。

全長3,645mm×全幅1,650mm×全高1,545mm。全長はマイナーチェンジ前より20mm拡大しましたが、これは主にバンパー周りの造形の変更によるもの。全幅1,650mmは5ナンバーサイズですし、全高1,545mmは都市部に多い立体駐車場への入庫も可能にします。

Aセグメントのクルマはほとんどが4名乗車で軽自動車と変わりませんが、全幅が広いことや後述する理由によりタイヤが車体の四隅に配置されていることで見た目以上に室内が広く、ゆったりと座れることができます。

フロントシート


リアシート

また昨今の軽自動車は使い勝手を高める多彩なシートアレンジが魅力となっていますが、トゥインゴの場合はリアシートは5:5の分割可倒式と4名乗車で荷室を拡大したい時に1段階リクライニングができる程度です。それでもリアシートを倒せば荷室はフラットになりますし、さらに助手席も前側に倒せば最大2,315mmの長尺物を積載することもできます。
荷室

そしてボディサイズにプラスしてクルマには小回りのし易さを表す「最小回転半径」という数値があります。トゥインゴが凄いのは日本の軽自動車以上に小さい4.3mという驚異的な数値を持っていることです。ちなみに日本で一番売れているホンダ・N-BOXでも4.5mあります。

軽自動車より大きなサイズなのに何故、そんなに小回りが利くのか? その秘密はエンジンをリアに搭載するRR方式を採用しているからです。エンジンがフロントにありませんから、ステアリングがその分大きく切れることでこの性能を実現しています。

実はトゥインゴのふるさとであるフランス、特にパリは道路も細く、坂道や石畳の道もあり、小さいクルマのほうが利便性が高いわけです。このモデルが登場した時のコンセプトは「Tailored for Paris(パリのために仕立てられた)」でした。道路の細さや入り組んだ道がある点では日本と共通している部分もありますが、ステアリングを切り返すことなく、曲がり角をスムーズに走り抜けるにはRR方式は非常に理にかなっています。

これらのことからも、トゥインゴは決して多機能なクルマではありません。しかし、使用頻度の高い機能を吟味し、良い意味での「割り切り」をすることで、結果として十分な実用性を持ち、車両価格の上昇も抑えることができます。まさにシンプルライフを地で行くクルマ、パリジャンやパリジェンヌの合理性を満足させた仕立ては、日本でもマッチする人が必ずいるはずです。スーパーの駐車も楽チンでオマケに注目度抜群。毎日乗ることが楽しくてしょうがないクルマとも言えるのです。

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