はじめに
3つのこだわりをどう実現したのか
とはいえ、リニューアル前の商品の売れ行きも好調だったといいます。商品開発を担当した、メニューマネジメント部の若菜重昭・上席部長は「味を変えるのは勇気が必要でした」と振り返ります。
リニューアルのコンセプトを「最高の食事体験」と置き、2年の歳月をかけて開発を進めました。前述の3つのこだわりを実現するため、さまざまな工夫を施しました。
「深みのある濃い味わい」を出すために、リニューアル前はブラジル、コロンビア、グアテマラ、エチオピアという4ヵ国産のコーヒー豆を使用していましたが、リニューアルにあたってエチオピア産を抜いて、新たにペルーとニカラグアの豆を加えました。さらに焙煎度合いをわずかに深くすることで、甘みと酸味と苦味のバランスを調整したといいます。
特徴の異なる5種類の豆をブレンド
2つ目の「食事とよく合う味」については、焙煎度合いの変更によって苦味をアクセントとして取り入れつつ、新たに2ヵ国の豆を加えることで酸味を抑え、サッパリした口当たりを実現したそうです。
そして、3つ目の「味わいの経時変化を抑える」に関しては、上述のように豆の配合を見直し、酸味が突出しないようにブレンド。バリスタのワールドチャンピオンの実績を持つ井崎英典さんの監修の下、時間が経ってもおいしく飲めるコーヒーを実現させました。
「濃い味わい」よりも印象的だったのは?
発売にあたっては試飲キャンペーンを実施。10月15~18日の14~21時に、全国の店舗でSサイズを無料で提供する予定です。
イベントでは濃いめの味わいが強調されていましたが、イベント後に報道陣に配られた試飲用の商品を飲んでみると、濃いめの味以上に、後味のスッキリ感が印象に残りました。濃いめのコーヒーを飲むと、後味の余韻が強すぎるケースがしばしばありますが、この商品は濃いめの味がガツンと来た後、しばらくすると一気に余韻が引いていく印象がありました。
特に効果を発揮するのが、甘いスイーツを食べた直後。今回のイベントではコーヒーとともに「三角チョコパイ」が提供されましたが、チョコパイを食べた後にコーヒーを一口ふくむと、パイの過剰に甘い部分が洗い流され、チョコとコーヒーの無駄のない余韻だけが口内に残りました。
三角チョコパイとの相性は抜群
イベントでは、「5ヵ国の豆の良い味わいを、いいとこ取りして、凝縮して飲める。濃いめの味わいは食事にピッタリ」と藤岡さんが語れば、若槻さんは「食事の邪魔をしない、だけどコーヒーとしての爪痕を残してくれる。プレミアムローストコーヒーのようなタレントを目指します」と、うまくまとめました。
濃いめの味で本格派のコーヒー愛好家のニーズに対応しつつ、スッキリした後味で新たに女性のティータイム需要を掘り起こすことができるか。消費増税に揺れる外食業界にあって、今回のコーヒーリニューアルはカフェとファストフードの勢力図に変化をもたらす可能性も秘めていそうです。