はじめに

ラグビー日本代表が快進撃を続けています。10月13日には、因縁の相手であるスコットランド代表を破り、史上初の決勝トーナメント進出を決めました。

これと対照的な動きをみせているのが、日本国内の景気です。

天候をはじめとした要因から、個人消費などの経済指標は7月分で一時的に悪化。8月分、そして一部結果が判明している9月分は、消費増税前の駆け込み需要も出て、底堅い内容になっていますが、米中貿易戦争に代表される不透明な国際情勢や消費税増税の影響などから、マインド指標は実態に比べて悪化が目立つ状態です。

今後はさらに、記録的な大雨と多くの河川での堤防決壊をもたらした台風19号による被害の影響が加わります。総合的にみると緩やかな回復が続いていると思われますが、微妙な局面でしょう。

こうした状況下、景気動向指数の機械的判断は、8月分で4ヵ月ぶりに景気後退の可能性が高い「悪化」に転じてしまいました。心理面からの悪化で本当の景気後退に入ることが回避できるかどうかの正念場です。


法人企業景気予測に表れた珍事

7~9月期の法人企業景気予測調査の大企業・全産業のBSI(前期と比較して「上昇」-「下降」)は、「貴社の景況」と「国内の景況」の動きが乖離する、大変珍しい結果となりました。

「国内の景況」は当期、翌期、翌々期と「下降」超が続くという結果です。一方、「貴社の景況」をみると、当期(7~9月期)は3四半期ぶりの「上昇」超に転じました。翌期(10~12月期)は消費増税が行われるので若干のマイナスと「下降」に転じるものの、翌々期(1~3月期)で再び「上昇」に転じるという結果です。

貴社と国内の景況

これは、米中貿易戦争に起因する世界経済の減速などを反映して国内の景況悪化は続くものの、「自分の会社は大丈夫」という考えの企業が多いことを意味しているようです。

また、日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」(9月調査)をみると、景気が「悪くなった」という割合は1年前の2018年9月調査の20.7から29.2へ、8.5ポイント増加。「良くなった」は7.4から3.2へ4.2ポイント減少しています。

そのように考える理由としては、「勤め先・自分の店の経営状況から」「自分や家族の収入の状況から」「商店街、繁華街などの混み具合をみて」という回答は、おおむね横ばいか、減少傾向。はっきり増加したのは、2.7ポイント増加の「マスコミ報道を通じて」と、2.2ポイント増加の「景気関連指標、経済統計をみて」の2項目でした。

世界経済の状況が不透明だという報道や、景気動向指数の機械的景況判断が今春3月・4月と一時的に景気後退の可能性を示唆する「悪化」に転じたことが影響したようです。しかも、8月分で再び景況判断が「悪化」に転じてしまいました。

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