はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、30歳までに1000万円貯めたいと貯蓄に励む25歳の女性。2~3年後に結婚を予定していますが、目標達成のためには何から始めればいいのでしょうか。FPの渡邊裕介氏がお答えします。
<相談者プロフィール>
・女性、25歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸(一人暮らし)
・毎月の世帯の手取り金額:23~28万円
・年間の手取りボーナス額:80万円
・毎月の世帯の支出目安:15万円ほど
【支出の内訳】
・住居費:6万円(水道代、Wi-Fi込み)
・食費:2.2万円
・水道光熱費:0.6万円
・教育費:なし
・保険料:なし
・通信費:0.2万円
・お小遣い:2万円(余れば翌月に持ち越し)
・医療費:0.5万円
・交際費:1.5万円
・衣服・美容費:2万円
【資産状況】
・毎月の貯蓄額:8万円(その他、支出で余った分はすべて貯金)
・現在の貯蓄総額:400万円
・現在の投資総額:なし
・現在の負債総額:なし
渡邊: こんにちは。ファイナンシャルプランナーの渡邊です。今回は、将来のライフイベントに備えての貯蓄計画のご相談です。
2~3年後にご結婚予定とのことで、楽しみですね。30歳までに1000万円という具体的な目標も掲げており、素晴らしいと思います。
今後、資産運用も検討されているとのことですので、将来考えられるライフイベントに合わせた資産運用計画を考えていきましょう。
ライフイベントは、それぞれいくらかかる?
貯蓄計画を立てる際にまず必要なのは、経済的な夢や目標です。“漠然とお金を貯めたい”ではなく、目的意識を持つ必要があります。
今回は、ご結婚される前提でどのようなライフイベントに、どれくらいの費用がかかるのかを考えてみましょう。
<結婚関連費用>
リクルートの「ゼクシィ結婚トレンド調査 2018」によると、結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用の総額(全国推計値)は466.6万円となっており、親族や友人などのご祝儀額平均が232.8万円、仮に親からの援助がない場合は、約234万円が必要となります。
夫婦で折半すると考えると、約120万円程度準備をしておくと安心かと思われます。
なお、結婚費用に対する親・親族からの援助があった人は76%であり、援助額の全国平均は195万円となっています。
最近は、結婚式を挙げない方も多く、規模も様々です。結婚費用や援助の有無については、各家庭によってばらつきがありますので、この平均額を参考にするより、ご自身の場合に置き換えて考えると良いでしょう。
<新居に関わる費用>
結婚すると2人での新たな生活拠点に引越しをします。引っ越し費用や、敷金・礼金などに加え、せっかくの新生活なので、家具やインテリアを購入したり、家電を買い揃えたりすると思います。
どれほどこだわるかは人それぞれですが、総額で100万円程度は見ておいた方が良いでしょう。
なるべくコストを抑えるために、独身の時の家具や家電を使用したりする方も多いですが、子どもができ家族が増えたりすると、いずれは買い替えるものとなります。
<出産関連費用>
出産費用は、地域や病院、分娩方法によって金額は異なりますが、平均額は40万~50万円となります。これらは、全額自己負担となりますが、健康保険に加入していれば、「出産育児一時金」として一律42万円受け取ることができるので、そこまで大きな負担にはなりません。
また、働いている人は、「出産手当金」や「育児休業給付金」も受給することが出来ます。
<子どもの教育費>
教育費については、将来子どもを何人欲しいのか、公立or私立に通わせたい、大学までは親として行かせてあげたい、など各家庭で異なってきます。
小学校までは、公立であればそこまで負担は大きくありませんが、中学校以降は負担が増え、仮に中学以降私立で考えると、一人当たり10年間で1200万円程度が必要となります。
仮に毎年の家計収支の中から教育費に年50万円程度を拠出できたとしても、差額の約700万円ついては、あらかじめ準備しておく必要があります。
<住宅購入>
最近は、頭金や諸費用など手持ち資金なしでも住宅ローンを組むこともできますが、ローンに組み込むということは、金利利息負担も増えますので、おすすめはできません。
なるべく将来の負担を抑えるためにも、最低でも200万~500万円程度の自己資金は準備しましょう。