はじめに
仮想通貨「ビットコイン(Bitcoin)」の利用が拡大しています。
4月、大手家電量販店のビックカメラは都内2店舗においてビットコインの試験利用を始めたと発表しました。ほかリクルートやぐるなびなどが導入を促進。今夏以降、多くの飲食店や美容室などに導入される見込みです。
これまでは一部の投資家だけのものだったビットコインが、今年、私たちにとってより身近な存在となりそうです。
ビットコインとは?
ビットコイン、イーサリアム、リップル、ダッシュ、ライトコイン……。これらの言葉を聞いたことがありますか?
世界で流通している仮想通貨です。なかでもビットコインは、ニュースなどで取り上げられることも多く、最近は耳にする機会が増えてきました。
とはいえ、その実態についてはよくわからないという方もまだまだ多いと思います。仮想通貨とは、一体どういったものなのでしょうか?
金融庁は改正資金決済法において、下記のように定義します。
1:不特定の者に対して代金の支払いなどに使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドルなど)と相互に交換できる
2:電子的に記録され、移転できる
3:法的通貨または、法的通貨建ての資産(プリペイドカードなど)ではない
簡単にいうと、「仮想」「通貨」というように、銀行などを経由せずに個人間で直接送金ができる「お金」で、資産はインターネット上に保管されます。硬貨や紙幣といった物体では存在せず、国を超えて世界共通で使える便利なものなのです。
そのなかでもビットコインは、世界で最も普及・流通している仮想通貨です。全世界におよそ2,000万人のユーザーを持ち、そのうち60万人が日本人の利用者と言われています(※平成29年3月時点 bitFlyer調べ)。
個人間で直接送金をするため、仲介手数料が無料(もしくは格安)になるなど、メリットが多い一方、まだ普及の初期段階にあるため課題もあります。相場変動が激しいため、現在は投機の対象としての利用が多く、日本では過去にビットコイン交換所が破産、顧客が預けた資金を着服していたとして大問題になりました。
法改正が導入を後押し
今年、これらの課題解決を後押しするのが、国による法改正です。4月1日に施行された改正資金決済法によって、仮想通貨発行事業者の登録が義務化されました。
また、7月には税制改正法案によって、これまで仮想通貨の購入時にかかっていた消費税がなくなります。これまでは曖昧な扱いだったビットコインに対する法が整えられることによって、“得体のしれない”ものから、実際に使える“お金”へとその扱いが変化しつつあります。
そして、その追い風を受け、家電小売業界のなかでビットコイン導入に先手を打ったのがビックカメラです。
同社は4月7日より、有楽町店、新宿東口店の都内2店舗にて、ビットコイン決済の試験導入を開始。日本最大の仮想通貨取引所「ビットフライヤー(bitflyer)」のシステムを使うことで、1会計につき10万円相当までのビットコイン払いを可能にしました。またその際も、現金で支払った場合と同率のビックポイントが還元されるそうです。
支払い方法も簡単。会計時に店員が提示したQRコードを、購入者はスマホアプリを起動させて読み取るだけ。特に煩雑な手続きは必要ありません。
まず、訪日客が多い2店舗で導入し、外貨からの両替が必要ない点に魅力を感じる外国人観光客の取り込みを狙います。
店舗側にとっても、クレジット決済とは異なって送金スピードが早く、手数料相場が1%とカードやモバイル決済と比べて安いという利点があるため、国内での利用が広がる可能性もあります。
リクルート、ぐるなびも推進
ほかにも今年は私たちの身近なところでビットコインを使えるお店が一気に増えそうなニュースが目白押し。
リクルートライフスタイルが展開するPOSレジアプリ「Airレジ」は、今年夏からビットコイン決済に対応すると発表しました。同社のサービスを利用しているのは、飲食店や美容室。今回の対応によって、26万店舗でビットコイン決済が可能になる予定です。
また、ぐるなびも今秋までにPOSレジシステムにビットコインの決済機能を加えると発表。まずは2020年までに、5万店での利用を目指します。
ほかにも、2016年2月にいち早く導入を決めた「DMM.com」やビットコインでの支払いができるネイルサロンや法律事務所、送金アプリ「mokuru」の登場など、ビットコインを実際に通貨として使える場所が増加中。電気代をビットコインで支払える「coincheckでんき」というサービスも、昨年11月からスタートしています。
ビックカメラは今回のビットコイン導入について、「現在は試験導入ですが、今後、利用者が増えて決済サービスとして認知されていくことに期待しています。ビットコイン決済が広まれば、全国の店舗ですぐに導入するための準備はできています」と普及への期待を語ります。
ビットコイン対応店の増加によって、一般ユーザーをどこまで取り込むことができるのか。今年はビットコイン拡大の大きな契機となりそうです。