はじめに

まったくもって個人的な悩みなのですが、超長期で保有している吉野家の株を手放すかどうか考えています。

学生時代から大好きな牛丼屋さんの単位株を、株主優待券目的で購入したのがもう30年も前のこと。それ以来ずっと持ち続けてきた株なのですが、なんとなく社会的地位もできあがってきた50代のおじさんとしては、牛丼を食べるたびに優待券を出すという仕草があまりかっこよくない……と思い始めてきたことが売却を検討しはじめた理由です。

そして、なにを悩んでいるのかというと、これまでの投資がプラスなのか、マイナスなのかが簡単には計算できないということです。今、仮に30年間保有してきた吉野家株を売却したとしたら、投資結果はプラスなのか、マイナスなのか。みなさんと一緒に考えてみましょう。


バブルの少し前に購入し、塩漬けした吉野家株

私が吉野家の株を購入したのはちょうど30年ほど前。記憶ではまだ店頭公開だった頃(現在のJASDAQに相当)からの株主のように覚えています。サラリーマンになって1~2年目の時期に優待券がもらえる最低単位株数を購入したはずです。当時の購入価格は合計で24万円程度だったと記憶しています。

念のため申し上げると、きちんと調べればもっと詳細なデータが出てくるかもしれないのですが、今回は“あまりに昔に購入して記憶が定かではない塩漬け株”を売るかどうかについて悩むコラムなので、あえて細部は曖昧にしたまま進めていこうと思います。

その後のバブルで一時期は38万円まで値上がりした後で急落。「売ったら損」という価格まで下がってしまいました。とはいえ、そこは大好きな飲食店です。半年ごとに株主優待券がやってきて、毎年20食は牛丼が食べられる。「損をしてまで売ることはないさ。塩漬けにして優待券を楽しもう」と考え、それ以来、今日まで吉野家株をずっと保有してきたのです。

その間に吉野家株は分割して購入単位が変わったり、吉野家HDと形態を変えたりしたのですが、優待券をもらう最低単位の100株を現在でも持ち続けています。

この1年で株価は急回復

さて、その吉野家は塩漬け後もいろいろとあり、結果からいえば株価は長期低迷していました。BSE騒動が起こって牛丼を売ることができなくなったり、すき家との低価格競争に巻き込まれて280円で牛丼を売らなければならなくなり利益が減ったり、本当にさまざまなことがありました。

リーマンショックの後、吉野家株の価値は単位元あたり10万円程度のラインを低迷していたのですが、この1年で株価がかなり上向いてきました。4月下旬の記事執筆時の株価を前提にすれば、私の持ち分は17万7,000円ぐらいにまで回復してきました。

新聞報道によると、昨今の吉野家HD株の値上がりは子会社である「はなまるうどん」の業績回復が大きいらしいです。実は吉野家は買収によって業態を広げており、ほかにもステーキのどん、回転寿司の海鮮三崎港、最近ではラーメンの「せたが屋」とも資本提携しています。

そのなかで、はなまるが「今後、積極出店で店舗数を広げることができそうだ」という期待によって株価は調子を戻してきたのです。

では、私が今ここで吉野家HD株を手放してしまった場合、これまでの収支はプラスなのでしょうか? それともマイナスなのでしょうか?

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