はじめに

働き方改革を推進する法律改正で、残業は厳しく制限されるようになりました。しかし、仕事時間が短くなることは歓迎するものの、その分給与が減ってしまっては素直に喜べないという声もあります。

同一労働同一賃金の実現に向けた法律改正も行われました。同じ労働をすれば同じ給与が支払われる、という考え方に近づけようとするものです。

それ自体は歓迎されるべきことだと思いますが、一方で同一“成果”同一賃金という考え方についてはあまり議論されていないように思います。

同一成果同一賃金であれば、費やした時間の長さに関係なく、同じ成果であれば同じ賃金が支払われることになります。その考え方にもとづくならば、長く働いても短く働いても、成果が同じであれば給与は変わらないことになります。

働いた時間の長さではなく、成果・実績で評価されるプロスポーツ選手の給与の考え方に近いと言えるかもしれません。


時短×ハイキャリア女性の主流は成果派

給与を増やすには、長時間働かなければならない。一般的にはそのように考えがちです。しかし、単純にその考え方で給与を増やそうとすると、仕事以外の時間を犠牲にする必要が出てしまいます。

時短勤務でありながら、管理職やマーケティング・法務など専門性の高いハイキャリア職種での就業を希望する“スマートキャリア”志向の女性に、「給与の支払われ方として、あなたの希望に近いものをお教えください」と質問したところ、以下の結果となりました。

有効回答数153人

43.8%が、「働いた時間にかかわらず成果に応じて支払われる」方が希望に近い“成果派”です。「成果にかかわらず働いた時間に応じて支払われる」ことを希望する“時間派”は21.6%で、成果派の約半分の比率になります。

アンケートに答えた人の8割強が、「過去で一番高かった時のおおよその年収」にも回答してくれています。その平均は564万円でした。最高額は1500万円です。

国税庁が発表している平成30年分民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の年間平均給与は441万円。その数値と比べると、アンケート回答者は比較的高所得経験者が多い層と言えます。

高所得経験者の方が、脱"時間派"傾向

給与の支払われ方の希望について、500万円未満と以上に分けて傾向に違いがあるかを確認したところ、以下の結果となりました。

有効回答数124人(無回答29人)

500万円以上の層の方が“成果派”の率がやや高いですが、500万円未満の層でも“成果派”が最も多くなっています。

それよりも傾向がはっきりと表れたのは、成果より働いた時間に応じて給与が支払われる方を希望する“時間派”の比率です。

過去年収500万円以上の“時間派”比率は、500万円未満の1/3程度です。過去年収がより高い層の方が、時間に応じて給与が支払われることを望まない、脱“時間派”が多いようです。

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