近年、「食料不足」と並んで、将来に向けた世界的な大きな懸念の1つとされているのが「水不足」です。

社会科学の分野には「仮想水」という考え方があります。その国が輸入している農畜産物や工業製品を、国内で生産するとした場合に必要な水のことです。

実は、日本ではこの仮想水の輸入がとても多い国です。それもそのはず、食料の多くを輸入しているからです。となると、「世界的な水不足 → 農産物が十分に供給できない → 日本の農産物の輸入ができなくなる → 日本の食糧不足」ということが心配されます。将来に向けて、私たちも水資源を大切にしていかなければなりません。

こうした姿勢は企業にもみられます。環境への配慮から「水使用の削減」を目標にする企業があります。排水を浄化して再利用したり、雨水を利用することなどで効率的に水を利用しようとの試みがなされています。

このような環境に対する企業の姿勢は、株式投資においてとても重要な観点です。いったいどういうことなのか、水使用の削減と株価との関係について考えてみたいと思います。


「水不足」がなぜそこまで深刻なのか

日本では今秋、大きな台風の上陸などで豪雨が相次いでいたので、水不足といってもピンと来ないかもしれません。しかし、一時的な大雨による濁流ではなく、私たちにとって必要なのは“清潔な水が年間を通じてコンスタントに供給されること”です。

国連環境計画(UNEP)の発表では、2025年までに、特に西アジア地域、北アフリカ地域、サハラ以南のアフリカ地域の国々を含む48ヵ国の18億人が「絶対的な水不足」に陥ると予測されています。

平たく言えば、特にアジアやアフリカなど中心に人口が増大しているため、生活に必要な水が不足する傾向にある、ということです。それだけではありません。食料を作るための農業や畜産業や、工業製品を造るにも水が必要です。

近年、環境に配慮する企業の株価パフォーマンスが高いという研究報告が少なからず見られています。その根拠は、環境への配慮ができる企業は長期的に収益面でも余裕があり、それが株高につながるということです。

また、環境にまで配慮できるということは、近年よく問題となる法令順守違反などの不祥事を許さない姿勢にもつながるとみられます。健全な企業経営により、長期的には安定した収益が期待されるからです。

「排出削減」では環境と株価に高い相関

実際に、前回の10月28日配信記事で「ゴミ排出量を削減した企業の株価が好調」である実証を取り上げましたし、9月27日配信記事では「温室効果ガスの排出を減らした会社の株価が好調」なことも示しました。

これらのゴミや温室効果ガスは、企業から排出されるものにクローズアップしたものでした。対して、今回のテーマである「水」は企業が使うものであり、過去2回の記事とは少し視点が異なっています。

「使うもの」という観点でも「削減」という企業側の行動が株価の好パフォーマンスにつながるようであれば、企業の環境に対する姿勢はさまざまな角度から見て株価に影響する関係が強い、といえそうです。

ただ、これまでの分析もそうでしたが、環境に関する情報を活用するにはちょっとした工夫が必要です。単純に「減らしたか否か」で見ると、たまたま工場の操業日数の問題で減ってしまったなど、企業の姿勢とは別の要因が影響してしまうからです。