「環境配慮で水を減らした企業」をどう分別?

そこで今回の分析は、次のように行っています。

東証1部で水使用量を公表している企業を対象に、毎年1回、8月末時点で取得できる水の量をチェックします。その量が3年前と比べて減っているかのデータで分類し、その後1年間の株式の平均収益率を見ました。

この「減らした企業」の取り扱いには注意が必要です。業況が将来厳しくなるとの見込みから工場の稼働を減らした場合には、水の使用も大きく減ります。会社全体の事業の活動量を示すものとして「売上高」を用いて「水使用量÷売上高」で判断しようとしても、売り上げと連動せずに、たとえば先行して稼働を減らすなどのケースもあるでしょう。

ですから、「大幅に減った」と、企業の環境への配慮を意図した中で水使用の削減として「ある程度減らした」とに分類します。それ以外は基本的には「水使用量÷売上高」が増えてしまった企業になります。

とはいえ、微妙な水使用量の変化が企業の努力か判断するのは難しいもの。そのため、「水使用量÷売上高」で見て、3年前と比べて0.000001ポイント以上減らした企業を「ある程度減らした企業」としました。分析の趣旨から、この「ある程度減らした企業」が水使用量の観点で環境への配慮姿勢を強めている、というものです。

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下表で示した収益率は、2010年以降でさらに平均しています。結果は、事前に予想どおりとなりました。「ある程度減らした企業」の平均株式収益率(その後1年間)は14.1%となり、他の分類を上回りました。

【東証1部上場企業の水利用の削減の有無とその後の平均株式収益率】

大幅に減った企業 ある程度減らした企業 それ以外の企業
その後1年間 11.7% 14.1% 13.6%
その後3年間 50.7% 62.6% 59.9%

(注)「その後1年間」は2010年以降、8月末での東証1部企業の水利用合計÷売上高が3年前と比べて「大幅に減った(0.001ポイント以上)」「ある程度減らした(0.000001ポイント以上)」「それ以外」で分類し、その翌月から1年間の株式収益率の平均をさらに時系列で直近まで平均。同様に「その後3年間」は翌月から3年間の株式収益率の平均をさらに時系列で直近まで平均
(出所)Bloombergのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

さらに、長期的な株式パフォーマンスを分析するために、その後の3年間の収益率の平均も見てみました。こちらも「ある程度減らした企業」の平均株式収益率(その後3年間)は62.6%と、他を上回りました。

水使用量の削減は、モノを大切にするという企業の意識ともつながってきます。再利用や雨水を利用することで、限られた資源を有効活用しようという発想があるからです。

環境への配慮という観点もそうですが、モノを大切にしようとする企業の株価パフォーマンスが高いのは、企業倫理が優れているという点からも当然の結果といえるでしょう。