はじめに

300万円で足りる?結婚費用の目安

ここで結婚費用についても触れておきましょう。

リクルートブライダル総研の「ゼクシィ 結婚トレンド調査2019」によりますと、挙式・披露宴・披露パーティの総額は354.9万円。招待客は66.3人で減少傾向にありますが、ご祝儀総額は224.3万円、自己負担は149.5万円となっています。また、全体の72.0%が親からの結婚資金援助を受けていて、その平均額は167.8万円となっています。

つまり、この調査での平均的な結婚では、結婚式のためにふたりで貯めたお金を一時的に支払いはするものの、ご祝儀と親からの援助により、ふたりが払ったお金は結婚式後に戻ってきています。そのため、そのお金は次なるライフイベントである出産やマイホーム購入資金に回せることがわかります。

もちろん、親に結婚費用を頼れるかどうか、どの程度のご祝儀が見込めるかは、ふたりを取り巻く状況によって異なるため、結婚による収入があまり期待できないこともあるでしょう。しかし、近年の結婚式は多様化していますから、その場合はごく近しい身内や親友だけを招いて式を挙げる、ホテルを使わずにレストランでカジュアルなパーティを開くなど、工夫次第で結婚式のコストはいくらでも調整できます。

続いて、結婚に伴う新生活の費用も見ていきましょう。

「ゼクシィ 新婚生活実態調査2018」によりますと、新婚生活でインテリア・家具、家電製品の両方またはいずれかを購入した人の割合は70.7%。これらの購入にかかった費用は52.1万円となっています。

結婚式費用からご祝儀費用を差し引いた自己負担額が149.5万円、新生活準備費用が52.1万円なので、両者をあわせた金額は201.6万円になります。

30歳までに300万円超の預貯金が見込めるご相談者さんは、彼女の預貯金に期待しなくても、平均的な結婚式と新生活準備費用をねん出できる計算になります。

まずは相手探しから、固定観念に縛られずに視野を広げて

結婚にむけた資金的には問題がなさそうなのですが、家計を拝見していて少し心配になったのが、結婚相手と、いつ、どこで、どのように出会うのか、という問題です。

お金の使い道からは、実家にお金をきちんと支払い、将来のために貯蓄をし、教育費ということで何かしら自己投資もしている点からも、結婚したらしっかりと家庭を守ってくれそうな予感がします。

一方で、ファッションやレジャーにそんなにお金を使っていなさそうなところを拝見すると、どんな女性と、どこで出会いたいのかに疑問が残りました。

「この先、好きな人ができたときに」という言葉からは、まだあまり恋愛や結婚にリアリティがないのでは、と感じました。また、「男性の私はどの程度を貯めておけばいいのでしょうか」という言葉からは、「男性が家計を支えるもの」という固定概念が見て取れます。

最近は、結婚や出産をしても働き続ける女性が増えています。それに伴い、そこに理解をもって、家事や子育てをシェアできる男性を求める女性が増えてきています。もちろん、専業主婦願望を持つ女性も依然としていますが、その場合、男性は今以上に稼ぎを増やす経済的プレッシャーが大きくなるでしょう。

ご相談者さんの理想の結婚がどんなスタイルなのかはわかりませんが、もう少し遊びやファッションにもお金を使って、まずは広く女性と会話をする機会を増やすよう心がけてみてください。

そして、男性が家計を支えて女性が家庭を守るというイメージを少し変えて、ふたりで共に働いて、ふたりで一緒に家事や子育てをしながら、共に家庭を築くイメージに変えていけると、より現実的な結婚が近づくのではないでしょうか。

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