はじめに
「スタートトゥデイ」という会社をご存知ですか?
2004年に始めた同社のファッション通販サイトの年間商品取扱高は、今や年間,2000億円を超え、日本最大級のサイトに育っています。そう、ご存知「ZOZOTOWN」です。
驚くことに、このZOZOを運営するスタートトゥデイの時価総額は「NEC」や「東京電力HD」よりも大きな規模となり、もはや大企業と言っても差し支えないでしょう(数字は2017年4月20日現在)。
約2万店の商品をタダで配る「0円セール」や、テレビCMでもおなじみ「ツケ払い」、採用広告「40名のエンジニア求む!」などユニークな施策を打つ会社としても知られています。
そんな夢とユーモアあふれる街、ゾゾタウンが4月19日、業績の上方修正と配当の増額を発表しました。これを好感し夜間取引では大幅高を演じたものの、翌日の株価は3.7%の下落。翌々日わずかに持ち直したものの、方向感が定まりません。
投資歴12年、株で生計を立てている筆者は、今後のスタートトゥデイに対するブル(強気)とベア(弱気)が混在しているように思うのです。
国内上場ネットサービス企業「時価総額ランキング」
順位 | 企業名 | 時価総額 | 事業 |
---|---|---|---|
1 | ヤフー | 2兆8,900億円 | ポータルサイト |
2 | 楽天 | 1兆6,800億円 | ネット通販 |
3 | エムスリー | 9,000億円 | 医療系情報サイト |
4 | LINE | 8,800億円 | メッセンジャーアプリ |
5 | ネクソン | 7,400億円 | オンラインゲーム | 6 | スタートトゥデイ | 7,300億円 | 衣料品ネット通販 |
※時価総額は4月20日現在
手始めに、スタートトゥデイがいかにすごい会社を数字からご紹介しましょう。
実は、国内市場に上場しているネットサービス企業のなかで、6番目に大きな規模を誇っています(ここでいうネットサービスは、インターネットを使うBtoCのサービスを指します)。
知名度でいえば、ヤフー、楽天、LINEの次がZOZOTOWNという感じでしょうか。成長性でみると、3位のエムスリーもとんでもないのですが、スタートトゥデイも負けず劣らずの超成長を続けています。
ブル(1)いまだに超成長を続けている
ゾゾのサービス開始は2004年、一般に浸透してから最低でも5年以上は経っているかと思いますが、その成長性はとどまるところを知りません。
※「業績予想の修正、配当予想の修正及び特別損失の計上に関するお知らせ」より
2017年3月期通期の決算は、売上高前期比40.2%増の763億円、営業利益同47.6%増の262億円とめちゃくちゃ稼いでいて、とにかくスゴイの一言。これだけの規模の会社で、これほどの数字を出せる企業にはなかなかお目にかかれません。
ですが……。
ベア(1)好決算は株価に織り込まれている
現在のスタートトゥデイの株価は、一年前と比べて約1.5倍上昇しています。2017年3月期は純利益ベースで1.4倍程度増えましたので、現在の株価は好決算が織り込まれた妥当な水準ともいえます。
さらなる株価上昇のカギは、成長の加速だったわけです。さて、直近の数字はどうなったのでしょうか。
ベア(2)QoQの売り上げ横ばい、もう少し伸びがほしかった?
成長株にとり売上高は「命」です。スタートトゥデイの決算説明資料を見ると、その命が3Q単体で一段上にどーんと増えているのがわかります。2016年11月からスタートした「ツケ払い」が貢献しているといわれ、ここにきて惚れ惚れするほどの成長加速をみせています。
となると、どうしても4Qも期待してしまうのが投資家の人情というものでしたが、28日に発表された4Q単体の売上高は22,699百万円(+2.16%)
QoQ、2%成長では物足りなかった株式市場は欲張りですね。前期比でいえば35%増なので、十分すぎるほど成長しているのですが、株式市場のスタートトゥデイへの期待はそれほどまでに大きかったのでしょう。