はじめに
「ステータス」に合わせる必要はない
お金が貯まらない多くの人は恐らく「自分はこの立場になったのだから、このレベルの生活をしなくてはいけない」という固定概念を抱いているからではないでしょうか。実際、私も「広告会社の社員はクライアントに対してカッコの良い姿を見せなくてはいけない」と言われ、高めのスーツを着た方がいいと言われたり、グレードの高い家賃の家に住むべきだ」、と言われたりしました。当連載でも再三申してきましたが、「どれだけカネを使うかは現状のステータスに合わせる必要はない。自分が本当に必要なカネを使えばいい」ということに行きつくのです。
だからこそ社会人なのに大学の寮に住んだり、カゴが取れたボロボロのママチャリで通勤をしたりしている状況を同僚に見せたら「ウチの会社にいるのになんで?」と言われました。ですが、「オレはこういう人間なんです」こうしたスタンスを貫き通した結果、何が起こったかといえば「中川は変人だ」という評価を得られる。これが実は良いのです! 一度「変人」の評価を得ると、行動が自由になるのです。
さすれば、「余計なカネは使わない」とか「ゴルフの誘いを断る」みたいなことであっても「まぁ、あいつはそういうヤツだからな」で終わり。女性とサシで飲食をするにしても、「大手広告代理店社員なんだから高級割烹とか高級フレンチに連れて行かなくてはいけないのかな」なんて感覚は一切持ったことはありません。
さすがに「一休」とか「養老乃瀧」なんかには行きませんが、「下北沢の老舗の焼き鳥屋・Sがウマいんですよ!」みたいな言い分が完全に通用します。単価は4,000円ぐらいですかね。「変人」評価を得ると、途端に節約人生を送ることが恥ずかしくなくなるのです。
こうした考えを持つのに加え、「他人と比較しない人生」ってものを心掛ければ別に周囲の金銭感覚に引きずられることはなくなります。学校もそうですね。結局私は小学校から大学まですべて公立でした。
「周りが“お受験”しているからウチもしなくちゃいけないんじゃないかしら……」なんてウチの両親は思わなかったし、貧乏エリアの公立に行ったものだから、「周りは“七五三”で着物を着たり写真館で記念撮影するみたいだけど、ウチはやらないでいいのかしら……」みたいなことは一切親は考えませんでした。その考えを私も引き継いだのですが、面倒くさかったり、お金がもったいないと思うのであればやらないでいいんですよ。